2015 Fiscal Year Annual Research Report
経済停滞期における福祉国家の財政再建策:スウェーデンを事例として
Project/Area Number |
24510350
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
秋朝 礼恵 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (80623454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡澤 憲芙 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 名誉教授 (60063773) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域研究 / スウェーデン / 財政再建 / 合意形成 / 高負担型福祉国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の主要な成果は以下のとおりである。 1.財政再建をめぐる諸政党のスタンスと合意形成について検証した。90年代の財政再建過程については、これまで94年の政権交代後の再建過程に主眼を置いて分析・考察してきたが、交代前の政権によって実施された対応策まで対象を広げることにより、財政再建に対する諸政党のスタンスを分析し、再建策をめぐる与野党間の合意形成がどのように進められたのかを考察した。 2.中間所得層の経済状況と格差について分析した。政治的多数派である中間所得層の支持調達は、政府が政策を実施するにあたり重要な条件となる。そこで、あらゆる国民に負担を求める不人気政策と有権者(特に中間所得層)の動向は、90年代の財政再建を説明する際の論点の一つとなる。そこで、まず、スウェーデン中央統計局、OECDなどの公式統計データを用いて、中間所得層の経済状況を分析した。90年代にはジニ係数で計測した経済的格差が拡大しており、特に子どものいる家庭の経済状況が他の世帯と比較して相対的に悪化していることが分かった。 3.スウェーデン語の対訳作成。これまでスウェーデンの社会保障や税制等については数多くの日本語による研究成果が発表されているが、発表者により訳出が異なったり、また、訳出が必ずしも適切ではな場合がある。そこで、これまでに発行されている主要な著作も参照しつつ、日本と異なる法制度その他、その用語の背景事情を踏まえて、社会保障に関連する用語を中心に日本語訳のリストを作成した。 4.課題全体の基礎的資料となる諸制度のまとめ。これまでに収集した資料をもとに、社会保障制度、マイナンバー制度および税制についてとりまとめた。
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