2012 Fiscal Year Research-status Report
米国フレンズ奉仕団の研究ー対日活動と日系人支援活動を中心としてー
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24510352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
戸田 徹子 山梨県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50183877)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 米国フレンズ奉仕団 / AFSC / クエーカー / NGO / 日米交流 / 日米関係 / 国際援助 / 戦間期 |
Research Abstract |
米国フレンズ奉仕団 (the American Friends Service Committee、以下AFSC) は国際環境の変化が著しかった戦間期に日本への関心を深め、民間レベルの日米交流事業に着手し、太平洋戦争下においては強制収容された日系人のために支援活動を展開した。本研究はAFSCの日本ならびに日系人に関連した活動を解明しようとするものである。 本テーマに関しては基本的資料の所在すら確認されていないので、初年度にあたる本年は、資料調査中心の作業となった。論文等を作成する段階には至っていないところから、次の通り研究成果を報告する。戦間期の国際関係と日米関係について最新の学術文献にあたり、民間セクターが日米交流事業や国際支援活動に果たした役割をAFSCにおいて検証するという、本テーマの研究意義を確認した。さらに平成24年9月と平成25年3月に、フィラデルフィアにおいて資料調査を実施した。(1)ハバフォード大学クエーカー・コレクションでは、キリスト友会の定期刊行物から日本関連記事を収集するとともに、AFSC関係者の人物照会ならびに資料収集をした。(2)AFSC本部資料室では、日本関係資料ファイルを閲覧し、アーキビストの助言を得て、これから採るべき系統的な資料収集方法を検討した。 AFSC本部資料室については説明を要する。日本関係の資料は3つのファイルに保存されていたが、そのほとんどは太平洋戦争下の日系人収容に関するものだった。それ以前の活動や関係委員会の資料は特にまとまった形で整理、収集されてはいなかった。またAFSC年次報告書などは予想以上にヨーロッパ中心で、日本ならびにアジア関係の情報はごく少数であった。さらに本部資料室が西海岸のAFSC支部の資料をもっていないことも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、主要資料の所蔵状況の確認を目標とした。まずAFSCに関する基本文献と国際NGOに関する内外の最新研究に目を通した。AFSCの戦間期の対日活動に関する学術研究は皆無と言ってもよく、また戦時下の活動についても米国日系人研究において断片的な情報が紹介されているのみであった。その後、フィラデルフィアに出張し、ハバフォード大学クエーカー・コレクションで資料収集を、AFSC本部資料室においては日本関係資料の所蔵調査を実施した。あらたに調査施設となったAFSC本部資料室に所蔵目録等は整備されておらず、そのため手さぐり状態から始まったが、集中的な調査とアーキビストから得られた適切な助言の結果、AFSC本部資料室の日本関係資料の概要は把握できた。 その他、次の2点を報告しておきたい。(1)AFSCに関する基本資料として研究対象期間の年次報告書のすべてに目を通したが、年次報告書自体には日本情報が少なく、むしろキリスト友会の一般向けの雑誌等、他の定期刊行物を探す必要があると分かった。(2)オーラル資料等の入手済みの資料について、分析を開始した。 以上、本年度は資料調査に終始したが、おおむね満足のいく結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究業績の概要に述べた通り、AFSC本部資料室の日本関係資料は一部を除き未整理と言っていい状態であり、かつ同資料室の資料は部門別や事項別に分類されることなく、年度ごとに一括保管されている。そのため必要な資料を見つけるのに、いちいち年度ごとのファイル全部を調べなければならない。資料を発掘するのには予想以上に時間が必要になると考えている。時系列に沿って、ファイルを丁寧に点検し、資料一覧を作成することから始めることになろう。 一方で、入手済みの資料については順次、紹介していく予定である。オーラル資料ばかりでなく、ギルバート・ボールズやトマス・ジョーンズ、ヒュー・ボートン、エスター・ローズなどの日本で活躍したAFSC関係者についても、なるべく早く発表の機会をもちたいと思っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次の通り計画しているが、前年度に引き続き海外調査費の比重が大きい。 (1)主として米国フレンズ奉仕団本部資料室で資料調査を実施する。年度ごとに集められた全記録から、日本関係の資料を探す作業を繰り返すことになり、かなり時間が必要だと考えている。(2)太平洋戦争中強制収容所に入れられた日系人とAFSCで働いていた職員のオーラル資料の分析を開始する。人件費が必要になる。(3)その他、パソコン更新、書籍購入、コピー代、消耗品などの支出を予定している。
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