2012 Fiscal Year Research-status Report
水と権力―中国の水利問題からオリエンタル・ディスポティズムの再検証―
Project/Area Number |
24510353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
祁 建民 長崎県立大学, 国際情報学部, 教授 (70448819)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国 / 山西省 |
Research Abstract |
今年度の研究実績は、まず日本国内における河北省と山西省の水利関係資料を収集し、整理した。特に日本における中国「水利共同体」に関する先行研究について、戦前のウィットフォーゲルの水理論の導入、平野義太郎らの研究、更に戦後の豊島静英、宮坂宏、好並隆司、前田勝太郎、森田明、内山雅生、石田浩諸氏の研究成果を吸収し、その到達点と問題点を明らかにした。次には中国に渡航し、天津南開大学歴史学院(張思教授)、山西大学中国社会史研究センター(張俊峰副教授)などの研究機関を訪問し、資料を収集した。また、山西省洪洞県・霍州市にある「四社五村」(明代から続いてきた水利団体である)の李庄社、義旺社、杏溝社、孔澗村などの諸村及び四川省にある都江堰という古代水利施設にて現地調査を行った。民間水利共同体と国家との関係及び古代中国水利工事における国家と地方政府の役割を実証的に研究した。以上の研究調査の結果をまとめて、中国西北大学により主催した国際シンポジウムに出席し、中国水利史に関する研究発表をした。今年度の研究業績は次の5点がある。(1)「互助組の結成から見る中国の国家権力と人間関係」『東アジア評論』第4号 2012年3月。査読あり。(2)「蒙疆政権与近代内蒙古関係年表」『張家口文史』総第47輯、2012年9月。査読あり。(3)「従水権看国家与村落社会的関係」『社会史研究』之二『山西水利社会史』北京大学出版社、2012年12月。査読あり。(4)「从清代清峪河水案看古代国家的水利理念」『東亜漢学研究』特別号、2013年2月。査読あり。(5)「中国内陸農村訪問調査報告(3)」(共著)『研究紀要』長崎県立大学国際情報学部 第13号 2012年。査読なし。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)日本国内におけるほぼすべての中国水利史資料を収集し、中国水利史についての先行研究を整理した。 (2)中国にて現地調査を3回実施し、資料の収集、二つの研究機関の訪問、中国の水利史研究者との交流し、国際シンポジウムにおける研究発表を行った。 (3)研究の成果として、論文5点を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.中国河北省と山西省洪洞県・霍州市の政府水利管理機関を再び訪問する。主に、河北省水利庁、地方水務局、山西省水利庁、洪洞県・霍州市の水務局及び介休市洪山灌漑区管理局を訪問し、政府の水利政策、国家側の水利行政の方針・政策及び民間水利団体に対する態度などを調査する。 2.山西省洪洞県・霍州市の「四社五村」で再び現地調査を行う。 3.山西大学中国社会史研究センターに所蔵する晋祠水利史料を調べて、比較調査を行う。 また、山西省介休市洪山泉水、源神廟(水神廟)を訪問し、水利石碑の碑文資料を収集する。 4.先行研究を整理し、研究論文をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.図書費、コピー代金、資料費など30万円。 2.日本国内出張2回 20万円。 3.海外出張3回 80万。 4.その他 8万円。
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Research Products
(5 results)