2012 Fiscal Year Research-status Report
ラテンアメリカにおける対米自立的な地域協力の模索と安全保障メカニズムの重層化
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24510355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
浦部 浩之 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (30306477)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラテンアメリカ / 地域協力 / 安全保障 / UNASUR / ALBA |
Research Abstract |
平成24年度はALBAとUNASURが推進する対米自立的な地域統合のプロセスを綿密に把握することを目的に、8月から9月にかけてラテンアメリカの5ヵ国で現地調査を行った。多くの研究者や実務担当者、ジャーナリストらと面会して様々な聞き取りや意見交換を行うことができた。とくにUNASUR事務局(エクアドル)やALBA事務局、共通通貨SUCRE事務局、ペトロカリブ事務局、テレスールテレビ(ベネズエラ)の訪問は、これらの機関が外部者に対してやや警戒的で面会取り付けが困難なだけに、非常に貴重かつ興味深いものとなった。なお、6月末にパラグアイで大統領が手続き面で疑義がある中で罷免され、同国がUNASURから参加資格を停止されるという出来事があったため、現地調査先として急遽パラグアイを加えた。外交当局者や研究者らからの意見聴取で、同国政府の立場、およびUNASURにおける意思決定システムの問題点を把握することができ、有意義であった。 研究代表者は、国内や二国間の紛争解決機構としてのALBAとUNASURの成否は、両機構が首脳間のフォーラムにとどまる現況を超えてどれだけ制度化を進められるかにかかっているとの仮説を立てていたが、現地調査により、問題の所在をいっそう明瞭に確認することができた。例えばパラグアイ問題への対応には、隣国の政治不安の自国への波及阻止という各国の政治的思惑が色濃く反映されている。ここに統合と協力を推進していくことへの強い動機がある。しかし手続き面での正統性を担保する仕組みが不十分なため、将来的に真に有効な紛争解決メカニズムの構築をかえって阻害する危険もはらんでいる。平成24年度は、以上の点などを中心に、ALBAとUNASURにおける統合プロセスを分析するうえで着目すべき論点を整理できた。なお、部分的ではあるが研究成果の一部は平成24年度中に発表した著作に反映させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、おおむね応募時に記載していた研究計画のとおりに研究を進めることができた。とくにエクアドルとベネズエラでUNASURとALBAの事務局やその関連機関を訪問し、統合プロセスの現況(機構化の進展状況)や将来的な課題を自分の目で確かめ、今後の研究において着目していくべき論点を整理できたのは大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度の成果をふまえ、応募時の研究計画にも記していたとおり、ALBAとUNASURが対処した紛争事例について具体的に分析を進めていくつもりである。とくにコロンビア軍によるエクアドル国境侵犯問題とホンジュラスにおけるクーデタ事件の2つに焦点を当て、ALBAとUNASURが二国間問題と国内問題という性格の異なる2つの紛争解決課題にいかなる役割を果たしているか(あるいは有効な役割を果たしえていないか)を、両機構の政治フォーラム的性格(不完全な機構化)と関連づけて読み解き、統合や紛争解決メカニズム構築プロセスの現状や今後の可能性を明らかにしていきたい。そのために研究対象各国における現地調査を行うことを重視している。 ところで本年3月、ALBAの構築を主導していたベネズエラのチャベス大統領が死去するとの大きな出来事があった。このことが統合プロセスにいかなる影響を及ぼすかは緊急かつ重要な分析課題であり、これについても追加的かつ機動的に研究に取り組んでいきたい。また、平成24年度、パラグアイ政変を緊急に分析対象に組み入れたことには非常に大きな意義があったが、それにともないアルゼンチンでの現地調査(UNASUR国防研究所の訪問など)ができなくなった。これについても平成25年度の研究のなかで補完していきたい。 平成24年度の現地調査で得られた知見については研究を取りまとめている最中である。本年度は紀要への論文投稿、ならびに学会での口頭報告を行い、研究の中間的成果を発表していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね応募当初の計画のとおりに研究費を使用することを計画している。現地調査をとくに重視しており、平成24年度と同様、最大の支出費目は「旅費」となる見込みである。
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Research Products
(5 results)