2012 Fiscal Year Research-status Report
閉じゆく家、開きゆく家:マレーシア多民族社会における家構造の通時的多元的比較研究
Project/Area Number |
24510364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ikuei Junior College |
Principal Investigator |
三浦 哲也 育英短期大学, その他部局等, 准教授 (80444040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益田 岳 京都大学, その他の研究科, 研究員 (00455916)
櫻田 涼子 京都大学, 文学研究科, 研究員 (30586714)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域研究 / 文化人類学 / マレーシア |
Research Abstract |
本研究では、マレーシアの複数の民族集団の「家」の特徴を現地調査から明らかにすることを目的としている。本研究の初年度に当たる平成24年度においては、まず8月に2日間に渡る研究集会(於・筑波大)によって全体での先行研究の検討・対象となる社会の情報共有・調査項目と手法の確認をおこなった。 それにもとづき、研究代表者・三浦は同国サバ州の先住民ドゥスン族について、分担者・櫻田は同国ジョホール州の華人についての現地調査を実施した。この現地調査では、社会組織/空間としての「家」の分析のため、家族・親族の集団原理や、「家」の構成員の加入/脱退に関わる人生過程、「家」と生業の関わり、「家」の村落社会での意味など、「家」で実践される人間関係の理解するための基礎的な資料の収集を行った。また、それに加え、家屋の構造上の特徴、家財の空間配置について、分担者・益田が開発した空間記録再生法による分析に堪えるデジタルデータの収集にも努めた。 現地調査で得られたデータについては研究組織として可能な限り共有するように努めており、これをもとにインターネット会議等で継続的に検討を行っている。 また、東北大学東北アジア研究センターで開催されたワークショップ「食からみる「つながり」の文化人類学的研究」(平成25年3月24日)において、「家」を現場として行われる食事や饗宴を通じて構築/形成/維持される人間関係の動態について櫻田と三浦が研究報告を行い、隣接地域との比較を通じて分析を精緻化をしながら、次年度以降の調査内容の精査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の検討や、調査方法・項目の精緻化については、研究集会およびインターネット会議によって効率よく進めることが出来た。また、前述の通り、櫻田・三浦は予定通りに現地調査を実施し、質的にも量的にも十分な資料を得ることができ、初年度としては順調に研究が進んでいると言える。 ただ、分担者・益田が、本務の都合により平成24年度中に現地調査を実施することが出来なかった。しかし、平成25年度の早い時期に調査を出来る見通しが立っており、大きな遅れとはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の調査で得られた資料の分析を進める。各対象民族/都鄙/地域ごとの特徴を析出する。他地域の事例などとの比較も行ったで、追加的に必要となる調査項目等を精査し、現地調査の精度向上を図る。 また、前年度と同様の分担により現地調査を実施する。特に「家」という場において、具体的にどのような人間関係が展開されているのか、その実践の部分に注目して次の資料を収集する。特に、家屋の構造・空間利用、「家」という場所を中心に構築される様々な人間関係、「家」の構成員の変化にともなう空間利用の変化について、「家」をめぐる移動の実態、等に留意した調査項目を構築する。 家屋に住まう人々の人生過程や、日常生活の変化に伴う様々な「家」の変遷を把握・理解するためには、一定以上の期間の継続的な観察が必要である。しかし、研究組織の3名はそれぞれの対象社会において数年~10年ほどの継続調査をしていることから、信頼できる通時的資料を得ることが可能である。 平成26年1月には各自の資料分析の進展状況をまとめたものをもとに研究会議をもち、最終年度にむけての研究計画の進行状態の確認と、補足調査の計画をたてる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究内容等には変更がないため、基本的に当初計画通りに研究費を使用する予定である。 次年度においては、現地調査を各員30日程度実施することを予定しているため、使用総額に占める旅費の割合が高くなることが見込まれる。なお、現今の円安傾向の影響により、航空運賃および滞在費が増大する可能性があるが、LCCの利用等の工夫により、予定通りの期間の滞在・調査を実現する。
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Research Products
(6 results)