2013 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア企業グループの変化と連続性: 政治体制の転換の観点から
Project/Area Number |
24510366
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
佐藤 百合 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, その他 (00450453)
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Keywords | 企業グループ / 経営資源 / 政治体制 / ネットワーク / 国際情報交換(インドネシア) |
Research Abstract |
2年度目である2013年度には、2012年時点での100大企業グループに関する最新情報データを収集し、スハルト体制末期、2011年、2012年との3時点での比較分析をおこなった。また、ヤン・ダルマディ・グループ創業者、ジャバベカ・グループ創業者、AKRグループ二代目CEOなど、異なるタイプの企業グループの中心人物に面談調査をおこなった。そして、これまで重ねてきた調査分析をもとに、企業グループの存続メカニズムを説明する「コア&ネットワーク仮説」を考案し、学会などで数回報告をおこない有益なレスポンスを得た。その仮説とは、以下のようなものである。 一般に、企業グループという組織形態は、政府から得られるレントを利益の源泉として市場独占力を強化する形態(レントシーキング仮説/独占アプローチ)、あるいは、企業グループが形成する内部市場を利益の源泉として不完全な市場・制度を補う効率性を生み出す形態(市場代替仮説/効率性アプローチ)として見なされてきた。これに対して、「コア&ネットワーク仮説」は、経営資源アプローチの視点から、所有経営主が多様な外部資源を動員するための形態として企業グループをみる。この仮説では、所有経営主のもつ経験や能力というコア資源が同時多重的に利用できること、ネットワークを用いて外部資源を動員することで資源調達コストを節減できることが、企業グループの利益の源泉となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の最も大きな成果は、企業グループが政治体制の転換を乗り越えて存続したメカニズムを説明する仮説の提示にこぎ着けたことである。また、1年目に積み残しとなっていた企業関係情報データの収集は、ほぼ完了することができた。 他方、企業の資金調達行動の分析については、収集可能なデータは揃ったものの、詳細な分析作業には踏み込めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成26年度には、これまで収集した情報データの詳細な分析を進めつつ、研究全体を体系的にとりまとめる作業に集中したいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、在京の所用が予想以上に多かったため、計画したほど現地調査のための滞在日数をとることができなかった。ただし、必要データの収集・入力作業は、あらかじめ現地補助員の活用を準備していたこともあり、少ない滞在日数のなかでも予定どおりに進めることができた。 現地調査を実施する。本研究を体系的にとりまとめるにあたって、いまだ欠落している情報データを補足的に収集すること、短期滞在では面談チャンスを得ることが非常に難しい有力企業グループの中心人物への面談を実施することが目的である。
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