2013 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の男性性構築におけるミソジニー・ホモソーシャル・ホモフォビア
Project/Area Number |
24510369
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
海妻 径子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (10422065)
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Keywords | 男性史 / 日本史 |
Research Abstract |
平成26年度の前半までは資料収集および海外文献を用いた理論研究の期間と位置づけているので、その計画に従い、昨年度に引き続き資料収集および理論研究に従事した。 今年度の研究実施計画では、都市俸給生活者に関する資料収集だけではなく対抗的男性性が示されているものとしての、工場労働者および植民地開拓事業参加者の男性性言説の収集に着手することを予定していたが、これに関しては計画通り行うことができた。昨年度に引き続き、社会民衆党等の社会主義右派政党や俸給生活者組合についての言説を新聞・雑誌等から抽出・分析するとともに、『俸給生活者・職工・生計調査報告』(協調会)等の、工場労働者をも対象にした諸資料の分析に着手した。 また、日本における対抗的男性性の、対抗性の特色を明らかにするために、キー概念となるであろう職工同一組合運動について、先行研究を検討した。 さらに昨年度に引き続き、ミソジニーやホモソーシャル、ホモフォビアについてのフェミニズム・ジェンダー・クィア研究の文献を収集して理論整理をおこなった。昨年度は射程に入っていなかった農本主義や日本浪漫派、国体論などに関する文献についても、ホモソーシャルやホモフォビアとの関連が深いものについては収集・検討の対象とした。そのため収集資料は昨年度と比較すると国内文献が中心となったが、昨年度行った海外文献の理論検討は、日本女性学会での個人発表という形で今年度に成果公開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予想していたほどには、工場労働者を対象とした資料のひとつひとつの内容が充実しておらず、より深い分析のためにさらに幅広くかつ数多くの資料を収集する必要がでてきた。そのため、収集・分析作業自体に着手はしているものの、十分な成果公開のレベルに達するために、収集・分析のスピードを速める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に既に、研究補助者を活用して効率の良い作業展開をする必要性を感じていながら、実際には人材不足により、年度後半における補助者を確保することができなかった。今年度も引き続き適任者を探し、補助者を活用しての効率よい収集分析作業をめざしていく。
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