2014 Fiscal Year Annual Research Report
韓国の多文化主義と結婚移住女性の文化的権利ー政策・運動・主体
Project/Area Number |
24510373
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
徐 阿貴 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (90447566)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 結婚移民 / 韓国 / 多文化 / 移住女性 / 文化表象 / 移民組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、韓国における多文化主義の政策化において活発化している結婚移住女性の組織活動について、政策と運動の相互作用に注目しつつ現状分析を行い、移民女性による組織研究への示唆を得ることである。最終年度では、現地でのフォローアップ調査および関連する文献資料の分析を行い、論文執筆および学会発表を行った。研究から得たおもな知見は以下のとおりである。 (1)結婚移住女性の組織活動は、初期の相互扶助の段階から、韓国社会に対する積極的なアイデンティティ表現へと展開した。その内容は、ドキュメンタリー制作等の文化表象、人権(DV被害者救済、啓発活動)、ボランティア活動、有権者運動と多岐にわたっている。組織形態により公的機関や女性運動団体が介在するタイプ、および相対的に独立性が高いタイプに分けられるが、独立性が高いタイプは在韓歴が長い結婚移住女性のイニシアティブと、出身地域の多様性を特徴としている。 (2)公的支援に関しては、組織活動の活発化とあいまって、従来の個別的で社会福祉的なアプローチではなく、女性たちの自主的な社会活動に対する支援が、社会統合への有効性という観点から提起されている。しかしながら、実行機関である多文化家族支援センターでは、来韓まもない結婚移住女性の定着支援(韓国語教育、家庭や法律相談など)が事業の中心であり、自助グループ育成事業は芳しくないようである。他方、主たる自助グループはセンター外部で形成され活動しており、慢性的な財政難と活動空間の確保に悩んでいる。ただしセンターが外部の自助グループと地域社会(市民団体や行政)を仲介したケースでは、連携がうまく機能し双方の満足度も高く、公的支援と当事者組織の間のギャップ改善に有効と考えられる。
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