2014 Fiscal Year Annual Research Report
出生率保持を可能にする条件と背景要因に関する日英比較研究
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24510392
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Research Institution | Kochi Junior College |
Principal Investigator |
池谷 江理子 高知短期大学, 社会科学科第二部, 特任教授 (30249867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 少子化 / 子育て支援 / ジェンダー地理学 / 合計特殊出生率 / 社会政策・社会福祉 / 若者の意識 / 国際情報交換 / 英国 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本と比較した英国の社会政策の特徴として以下の点が指摘される。1、出生率の低下開始後、安定した出生率への回帰に1~1.5世紀を要した。2、地域保健・労働者生活の実態調査等は慈善活動として行われた。3、これら慈善事業は政策へ活かされ、社会経済的弱者救済が福祉政策の基礎におかれた。4、子育て期の経済負担軽減策として児童手当が構想される等、福祉政策の基礎に子育て支援策が位置する。5、第二次大戦前・中期には出生率低下に対し人口増加策ではなく、子を持てる環境の整備が目指され、大戦後の少子化傾向に対しては幅広い社会政策が功を奏した。6、無償の医療・義務教育と児童手当等により子育ては公的に手厚く支援されている。7、福祉施策・産業は比較的安定した雇用機会を提供し経済・税収面の効果がある。 日本への示唆として以下の点が指摘される。1、少子化対策には、不安定雇用の改善・格差対策等により、弱者を含め安心して生活できる環境作りが重要である。2、保育・教育等子育て関連施策を充実させ、継続的長期的に実施する必要がある。3、妊娠・出産を強調する政策はリプロダクティブ・ライツ等の観点から問題であり、子を産み育てることができる社会経済環境の整備が必要である。4、福祉を安定した産業として発達させ経済効果を生かす取り組みが必要である。5、子育てや格差問題に取り組むNPO等の自主的活動の拡大が望まれる 世界と比べた若者意識調査によれば日本の若者が将来持ちたい子の数は他国よりやや少ない程度であった。また、国別合計特殊出生率と若者が将来持ちたい子の数は必ずしも相関しない。これらから、日本の若者は子を持つことに対し、さほど悲観的ではないが、周りの環境の制約等を受け、持つ子の数が少なくなる可能性があると予想される。今後の社会の有り方や政策が人口動向に影響するとみなされる。
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Remarks |
(1)池谷江理子の個人ホームページ。研究業績・経歴等詳細記載。 (2)現勤務校ホームページ内専任教員サイト。専任教員データとして研究業績・経歴・連絡方法等記載。 (3)-(5)オープンアクセスの研究雑誌掲載論文pdf。
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Research Products
(9 results)