2012 Fiscal Year Research-status Report
生命倫理学におけるモンスター概念の変遷とその役割―メタファーとしての奇形―
Project/Area Number |
24520009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
香川 知晶 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70224342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 いづみ 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30454507)
竹田 扇 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (20272429)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モンスター / 生命倫理 / メタファー |
Research Abstract |
24年度は、初年度として、1、本研究の基礎となるべき文献調査を効率的に遂行するために各研究者の関連研究の成果を相互に検討することによって暫定的な作業仮説を設定し、収集文献の分野・範囲を絞り込むこと、及び、2、医学を中心とする基本文献の調査・検討を中心とした。 1のこれまでの研究経過を基にした作業仮説モデルの構築については、平成24年7月14日に京都(立命館大学朱雀キャンパス)において第1回研究会を実施し、各研究分担者がこれまでの研究成果して、「米国における生命倫理学を中心とした「モンスター」論の展開」(香川)、「日本における尊厳死言説と死ぬ権利論」(大谷)を発表した。さらに、竹田から2医学に焦点を合わせた関連基本文献の収集・整理・検討について報告があり、医学的概念の世俗化としてモンスター概念を理解する方向を確認した。また、考察の範囲を広げる必要性も確認され、新たに研究協力者の参加を要請することになった。 新たな研究協力者として公衆衛生学史の研究者川端美紀を迎え、第1回研究会で確認した研究の方向性を確認し、具体的に研究を進める基盤を固めるために、11月10日に第2回研究会(京都、立命館大学朱雀キャンパス)を開催した。香川・大谷はそれぞれエピステモロジーと生命倫理におけるモンスター概念について報告した。また、本年度の課題である医学におけるモンスター概念について研究者相互の共通理解を図るために、竹田が「医学・発生学から見たモンスター」についてレクチャーを行った。 本研究の出発点となる医学的な概念については、さらに、平成25年2月9日(東京国際フォーラム)に第3回研究会として、医学史の権威である順天堂大学医学部坂井健雄教授を招聘し、講演及び本研究についての助言を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的との関連で予定していた作業はすべて実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、25年度は、医学的な奇形概念のメタファー化の過程を解明する手がかりとして主要な医学関係の博物館における奇形(モンスター)の展示のあり方に焦点を合わせた海外調査を実施し、その成果の取りまとめることで、医学的概念の社会的変容を時代的な変遷に留意しながら解明することを予定している。この海外調査のために、事前の打ち合わせも兼ねた研究会を7月上旬及び8月下旬にそれぞれ京都、東京で開催する。また、調査遂行後、各研究分担者が調査研究を踏まえた取りまとめを行い、その検討のために、11月に研究会を東京で開催する予定である。また、予算の執行状況を踏まえ、本年度と同様に年度末に専門家からの指導助言を求めるための研究会の実施も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収集予定だった医学関係文献が再版時期等の関係で入荷時期が遅れたため、未使用金が発生した。その分については、当初の予定通り、医学関係文献購入のために使用する。 また、次年度の研究費については、海外(イタリア・フランス)における調査研究にかかる費用及び関連する研究会開催のための費用を中心に使用する。
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Research Products
(15 results)