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2012 Fiscal Year Annual Research Report

「選択」思想の意義にかんする倫理学的基礎研究

Research Project

Project/Area Number 24520019
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

宮島 磨  九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (70241453)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2017-03-31
Keywords法然 / 選択 / 二河白道 / 凡愚 / 天台 / 法と機 / 親鸞 / 他力
Research Abstract

近年様変わりしつつある中世仏教の研究においても,転換点の主軸をなす法然の「選択」思想にかんして,その成立基盤を中国浄土教や天台教義との関連にたずねる一方で,法然門下においてその思想が分岐し,ひいては親鸞の「他力」思想へといわば純化していったことの思想史的意味を考究することによって,「中世仏教」から「中世宗教」ひいては「日本仏教」の全体像を解明する手がかりにするとともに,そこに見られる人間観の倫理学的意義を問うことが本研究の課題であったが,本年は善導からの法然にいたる浄土教における思想継承の意味を,とりわけ法然独自の「選択」思想や「凡愚」観に焦点をあてつつ究明した。
諸行の実践を説く教説をすべて『観無量寿経』所説の「散行」へと収斂させたうえで、それを「廃捨」し、念仏への帰命を説く法然の「選択」思想は,いわば「(仏)
法」の多様性を一様性へ変換するものであった。が,それには「法」を受けとめる衆生(「機」)の側においても「凡愚」という人間観を措定せざるをえなかった。そうした意味において法然の「選択」思想は,「凡愚」という一様性ゆえに平等な人間観を前提にするものであったが,なお天台出身の法然にとって「愚者になる」という課題を残しもする思想であったことを明らかにした。
善導『観経疏』における「二河白道喩」受容の問題もまた,善導自身の人間観・世界観の枠をこえ,以上のような法然の人間観・世界観を背景にして受けとめられていることを明らかにするとともに,まさにその意味において,後の弟子親鸞による「二河白道喩」理解,ひいては他力思想の礎石をなすものと考えることが出来た。

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Published: 2014-07-16  

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