2013 Fiscal Year Research-status Report
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24520025
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
長町 裕司 上智大学, 文学部, 教授 (90296880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 牧男 東洋大学, 文学部, 教授 (20175699)
宮本 久雄 上智大学, 神学部, 教授 (50157682)
田中 裕 上智大学, 文学部, 教授 (70197490)
伊藤 益 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (80184662)
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Keywords | 共生 / 宗教哲学 / 仏教思想 / キリスト教思想 / 京都学派 / 日本思想史 / 現象学 / 神論 |
Research Abstract |
平成25年度は、本研究プロジェクトの目ざす組織的な課題にとって、求心的な深化と共に新たな進展が成果として達成できた年度であった。研究代表者と4名の研究分担者各自の専門研究分野と関連して、本共同研究のテーマを更に開拓し推進する研究書や研究論文が新たに起草された他、以下のシンポジウムや連続講演会が企画され、集中的討議がなされた。 1) 上智大学シンポジウム『日本とヨーロッパを結ぶ〈共生〉の思想 ― 宗教・哲学・環境思想・言語学の側面から考える ―』(2013年11月15/16日、上智大学中央図書館L 821会議室にて): 本科学研究費による共同研究プロジェクトと上智大学ヨーロッパ研究所との共同開催。2日間に亘って、ヨーロッパからと日本各地/各大学からの10名の研究者による研究発表と2回のパネルディスカッション 於 上智大学 7号館 14階 特別会議室を行い、多岐に及ぶ思想上の対話と今日的な問題の焦点化へと活発な議論が為され(2015年に1冊本として出版予定)。 2) 本科学研究費共同研究 主催 宗教哲学フォーラム No. 2『哲学的思惟と〈神的なる神〉― 近代以降の日本とヨーロッパにおける「宗教への思索」 ― 』(2014年3月15/16日、上智大学 7号館 14階 特別会議室にて):昨年度に続いて、京都学派の宗教哲索からの普遍的宗教性を巡るテーマの講演と西洋のキリスト教的基盤からの今日における〈神の問題の在り処〉を問う現象学からの問題設定との結節点を追究する大型のシンポジウムが企画され、本研究プロジェクト推進の宗教哲学的な深化に大いに益するものであった。 平成25年度は「東アジア圏の思想の脈動を根底から見直す」という研究目的の一つの重要要因を際立って進展させることができた言える。更にエコロジー(環境学)の視点を共生学構築のために不可欠な要因として宗教哲学的に導入できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の達成は、本年度に大いに進展があり、共生を巡る宗教思想的基盤を(宗教間対話のレベルでも)相互了解のための諸相において明示する方向が提示されたと言える。 この進展を生んだ理由は、まず第一に研究分担者間の密接な協力と各々の分野での研究の進展からの貢献が大きいと言えるが、同時に日本各地の宗教思想研究者やヨーロッパの宗教哲学的問題を追求する研究者たちと研究代表者が親密な対話的関係を推進し、更に東アジアにおける環境思想の今日的意義を重要視するシンポジウムを開催できたことも研究目的達成に拍車をかけたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の最終年度においては、単に前年度及び前々年度の研究成果を総括してゆく方向だけではなく、共生学の構築が開く精神地平を21世紀における統合的な視点からの継続的な課題として打ち出せるよう宗教哲学的に結実させる努力を推進方策とする。 研究成果の総括という点では、本研究プロジェクト終了後1,2年以内に単行本として書店より刊行する予定の総合的研究書『東西宗教思想を通しての、共生のための根源地平』の準備作業に入る。また、具体的成果を一般市民及び特に若い世代に伝達できる知恵の形式において呈示できるよう、広範にわたり諸次元を含む研究内容を取りまとめて洗練化することも本年度の課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度(2013年3月)に開催した連続講演とシンポジウムの諸原稿を既に平成25年度中に一つの冊子に纏め上げる計画を予定していたが、枠テーマとする内容上での密接な関連を有する平成25年度末(2014年3月)に開催した宗教哲学上の連続講演とシンポジウムの諸原稿とも併せて本共同研究の研究成果を示す冊子として一先ずは纏め上げることに企画上の変更が生じたためである。 平成26年度には、上述した研究状況と成果を実質的に示す総合的な冊子作成を前半期に達成するために、次年度使用額を含め活用することにしたい。
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