2015 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の画像メディアにおける「喇嘛教」表象の研究
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24520049
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高本 康子 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 地域比較共同研究員 (90431543)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 喇嘛教 / 近代 / 大陸 / 仏教 / チベット / 日本 / 満洲 / 満蒙 |
Outline of Annual Research Achievements |
学術論文の出版および口頭発表等、本報告書項目13「研究実績」に記載したものを除くと、現時点における本研究の実績としては以下4点が挙げられる。 1.資料の発見と蓄積。今年度中および本科研で予定した収集作業は、ほぼ達成した。次年度はこれら成果の発表・刊行等に取り組む予定である。 2.成果の公開・出版準備。次年度は本科研最終年度であり、研究活動の成果を複数の刊行物として公開する予定である。そのための準備作業を、本年度内に行った。①オーストラリア国立大学教授リ・ナランゴア氏との共著。②寺本婉雅関連資料、多田等観関連資料の復刻出版。両資料群には、東アジア近代史研究に有益な新知見が見出され得る資料が多数含まれる。①②の刊行に関しては、資料提供者、出版社その他関係各位の了承は、今年度において既に得た。 3.本科研終了後の有機的展開のための準備。本科研の成果は、上述の刊行のみで終わらせず、科研終了後の次なる展開に最大限に活かされるべきと考える。そのため本年度内には、この点に特に注意して以下の作業を進めた。①興安会等複数の、満洲からの帰還者の団体との連絡。②北海道内の資料所有者との連絡。今年度の予備調査で、道内に未公開個人資料が予想外に多く残されていることが判明した。③海外の研究者との連繋。本科研で主な調査分析対象の一つであった日本人入蔵者資料について、チベット史の観点からパリ大学の研究者等から関心が示され、欧州学術会議のチベット軍事史研究プロジェクトにおける今後の協力体制が実現した。 4.一般への成果発信。前年度に引き続き、以下を行った。①公開講演。能海寛研究会(島根県浜田市)、真宗大谷派名古屋別院人生講座(愛知県名古屋市)、興安会勉強会(千葉県松戸市)において講師を担当した。更に、②全国および地元の文化事業への協力。テレビドキュメンタリー制作への全面的な協力(秋田テレビ、ライフビデオ社)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由は主に以下2点による。すなわち、①資料の蓄積の規模が、前年度に引き続き、研究計画当初の予想を大きく超えていること。国内においては、いずれも多数の資料を含む未公開個人コレクション資料にコンタクトし、その整理・分析作業をすることができたこと、また特に北海道内において、有力な資料を続けて発見できたこと。また、海外での資料調査は、当初予定してはいなかったが有力な情報提供を得て、今年度は米国において資料収集を行うことができた。次に、②連繋・協力をはかることができる人脈の予定以上の拡大。上記①と同様に、海外とのこのような連繋を確保することができたことが、研究の進展に非常に大きく反映した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画以外に付け加えるべき、次年度の研究推進方策としては、以下3点が挙げられる。 ①成果を公表する研究会等の開催。本科研成果に関連する事象を研究対象とする、複数分野の研究者の議論の場を設け、本科研成果の有機的な展開の第一段階とする。すでにその一つは今年度においてキックオフが実現し(日本宗教学会大会パネル発表)、次年度、研究会とシンポジウムを開催予定である。これに加え、a.近代日本におけるアジア画像資料の活用研究、b.近代以降の大陸関係資料の活用研究c.近代の欧米および日本におけるアジア表象の比較研究のいずれかについて、実現を目指す。 ②資料の復刻・目録等の公開・刊行。「研究実績の概要」にも述べたように、予定外にコンタクト可能となった資料群が複数あるため、作業量が当初の計画以上に増加しているが、可能な限り速やかに、目録および主要資料の公開・出版を進めていきたい。 ③本科研成果の有効活用を目指す作業。今年度新規にその所在が判明した諸資料については、その調査分析が本科研の実施期間内には終了しない可能性がある。しかしこのような資料の存在は、本科研の研究課題の発展性を端的に示すものでもある。そのため、「研究実績の概要」においてもすでに述べたように、本科研実施期間内において、その調査分析を、今後の有機的活用という点をふまえた上で可能な限り進める。
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Research Products
(11 results)