2013 Fiscal Year Research-status Report
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24520052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
畝部 俊也 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (10362211)
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Keywords | 仏教図像 タイ / サムット・コーイ タイ / 『仏頂尊勝陀羅尼経』 / クメール文字写本 |
Research Abstract |
2013年6月にここまでの研究成果としてIlluminating the Life of the Buddha An Illustrated Chanting Book from Eighteenth-Century SiamをNaomi Appletonおよび Sarah Shawと共著でオックスフォード大、ボードリアン図書館より出版した。ここで得られた研究成果については、日本で5月に学会発表し、一部についてさらに詳細に研究を進めて、8月にタイのチュラロンコーン大学で開催されたシンポジウムにおいて発表した。またこの書籍は研究対象としているタイの装飾写本の美術面に主に焦点を当てたものであるため、同種の写本の文献面に注目して研究を進め、9月の国内学会で発表し、さらには11月にはインドのプーナ大学パーリ学科において講演を行った。 当該の写本には、北伝仏教圏に伝わる『仏随念』『仏頂尊勝陀羅尼経』とパラレルな文献が含まれるため、これらに対する知見を高めるべく、8月には知恩院宗学研究所中御門敬教研究員、2月には智山伝法院佐々木大樹講師を、講師に招いてワークショップを行った。『仏頂尊勝陀羅尼経』にパラレルなUnhissa-vijayaというパーリ語文献に関しては、暫定的な校訂・翻訳を作成した。また、サンスクリット版の『仏頂尊勝陀羅尼経』も同様に研究を進めた。 3月には国内に所蔵されるクメール文字写本のうち、最古と思われるものを平戸において調査し、貴重な成果を得た。同調査では『仏頂尊勝陀羅尼』梵語写本に関しても重要な発見があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
著書と論文はそれぞれ1点ずつ公刊され、研究成果の公表は順調に進捗している。著書の出版により、予想を上回る形で国際的に注目を集め、タイ、インドで成果発表できた。また、共同研究の依頼などの形で、今後の展開にも繋がった。当初より予定していた欧米での図書館における調査が今年度は実施できなかったものの、上述のように海外での成果発表に時間を割く必要があったため、やむを得ないものと考える。フランスにおいては本年度6月には、研究成果の発表と資料調査を予定しており、最終年度に向けて研究成果をまとめる準備は順調に整ってきたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
Unhissa-vijayaというパーリ語文献、これに関連する『仏頂尊勝陀羅尼経』の梵本に関しては、すでに暫定的な校訂・翻訳を作成しているので、これを洗練し、テキスト内容の包括的な研究をまとめたい。6月にはフランスで成果発表の予定であるが、写本調査も平行して行う予定である。図像研究の面での資料に関しては、本年度実施できなかった北アメリカの博物館などの調査を実施したい。これについては、6~8月に日本に滞在予定のペンシルヴァニア大のジャスティン・マクダニエル准教授の協力を得ることとしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
タイでの成果発表により、予定していた欧米での海外調査が実施できなかったため、支出金額に差額が生じた。 昨年度実施できなかった欧米での調査を行う。
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