2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡野 潔 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (80221844)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド仏教 / ネパール仏教 / サンスクリット語文献 |
Research Abstract |
本研究課題は、交付申請書に記したように、4年間で次の(1)~(3)の三種類のテキストの研究を並行して行うことを目的とする:(1)『如来誕生アヴァダーナ・マーラー』(別名 Padya-Lalitavistara、略号 TJAM )の校定・翻訳;(2)『善説、大ラトナ・アヴァダーナ・マーラー』(略号 SMRAM)の研究;(3)『菩薩アヴァダーナ・カルパラター』(略号 BAKL)の研究。 研究期間の1年目の平成24年度の研究は、24年4月の申請計画どおりに進捗し、順調に発表がなされた。それは次のとおりである。 上記の(1)の研究:TJAM の第8章と第3章のテスクト校定の作業を進めた。特に第8章は校定をほぼ終えて、次年度(平成25年度)にはその校定テクストを発表できる状態にした。 上記の(2)の研究:SMRAMの第16章「餓鬼女アヴァダーナ」の梵文校訂・翻訳ならびに研究(アヴァダーナ・シャタカ第49章との内容比較)を『南アジア古典学』第7号(2012年7月発行)の論文第二部(「自分の産んだ子供たちをむさぼり食う餓鬼女」)に発表した。またその餓鬼女の話を含む餓鬼文献の研究内容を、学部教育のため、九州大学文学部の教科書『テクストの誘惑 フィロロジーの射程』の第1章として執筆し、発表した。 上記の(3)の研究:BAKLの第80章『スバドラのアヴァダーナ』ならびに第81章『ヘートゥ・ウッタマ仏のアヴァダーナ』の梵文校訂ならびに翻訳を行い、『南アジア古典学』第7号(2012年7月発行)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の(1)~(3)のテクストについて平成24年4月の交付申請時に記した平成24年度計画はほぼ達成された。 (1)の TJAM の梵文テクストについて、交付申請書の実施計画で私は「第3章と第8章の校定テクストの作成・翻訳を進め、次年度にはまず第3章を発表できるように準備する」と記したが、第3章よりも第8章のほうが内容的に重要であるため、計画を微修正して、第8章の準備を先に進めることにした。その第8章の校定作業は1年間に予定どおりに進捗したので、次年度(平成25年度)には第8章の校定・和訳を発表できる。 また(2)の SMRAM ならびに(3)のBAKL の梵文テクストの校定・和訳・研究は、計画どおり、九州大学インド哲学史研究室発行の学術雑誌『南アジア古典学』第7号の拙稿において発表された。(2)は論文の第2部で、(3)は論文の第1部で扱い、両方あわせて約100頁に及ぶ論文となった。これで(2)の SMRAM の第16章 PretikAvadAna と、(3)のBAKL 第80章 SubhadrAvadAnaと第81章 HetUttamAvadAna の校定が済んだことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年4月の交付申請書に記した計画にほぼ沿って、今後も研究を進めてゆく。平成25年度は、次のように研究を行う: (1)の TJAM については、第8章 Bodhisattvajanma-parivarta の校定・翻訳を発表する。 (2)の SMRAM については、第17章 PretIbhUtamaharddhika の校定テクストを発表する。 (3)の BAKL については、第82章 NArakapUrvika-avadAna の校定・翻訳を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費50万円のうち、38万を物品費にあてる。物品費の内訳は研究関連図書と情報機器とアプリケーションの購入である。また2万円を消耗品代にあてる。 残る10万円は調査のための旅費とするが、しかし大学業務の多忙さから、日程が整わず、調査旅行を断念することもありうるので、その時は旅費10万を図書購入費として使いたい。
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Research Products
(4 results)