2013 Fiscal Year Research-status Report
寺院仏教とソーシャル・キャピタルー過疎・中間・過密地域の比較
Project/Area Number |
24520062
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 義秀 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50196135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川又 俊則 鈴鹿短期大学, 生活コミュニケーション学科, 教授 (40425377)
猪瀬 優理 龍谷大学, 社会学部, 講師 (60455607)
大谷 栄一 佛教大学, 社会学部, 准教授 (70385962)
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Keywords | 過疎 / 寺院 / 浄土宗 / 浄土真宗本願寺派 / 真宗高田派 / 真宗大谷派 / ソーシャル・キャピタル |
Research Abstract |
本研究では、①仏教寺院が地域社会形成に果たす役割を過疎地域(限界集落)/中間地域(地方都市)/過密地域(大都市)において明らかにし、②宗教施設が今後の日本社会におけるソーシャル・キャピタル形成に果たす潜在的可能性を議論するための基礎的な資料提供を目的とし、2013年度は2012年度に引き続き、浄土真宗本願寺派、真宗高田派で上記の三地域で調査を行い、浄土・真宗系教団における寺院・門徒間の関係と地域における社会関係の重なり具合を比較検討した。 具体的な成果としては、①北海道大学と龍谷大学、浄土真宗本願寺派総合研究所と合同で滋賀県の本願寺派寺院調査を2013年8月に実施し、真宗高田派では分担研究者の川又が三重県内の寺院を研究協力者とともに30ヶ寺ほどの寺院調査データを蓄積した。調査内容としては、寺院の社会的機能を項目ごとに調べ上げるだけではなく、檀徒・信徒(門徒)のメンバーシップと行事参加(信仰の深まり)が、寺檀関係や門徒同士の同朋意識を強化するだけではなく、地域社会への参加、他者への信頼、社会倫理の獲得に結びついていくというソーシャル・キャピタル論の課題を明らかにする事例蓄積に努めた。 研究成果の社会的発信としては、浄土宗総合研究所主催の「過疎地域における寺院に関する研究会」に分担研究者の大谷が、日蓮宗千葉教区の教化教育研修会に代表者の櫻井がそれぞれ講師として招かれ、過疎と寺院、少子高齢化時代における寺院の社会的役割にかかる事例紹介や検討会を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
寺院調査は継続的に進められているが、2013年度は研究代表者の櫻井が8月中盤から 2014年3月まで香港中文大学に出張していたので、分担研究者が主な調査活動を実施することになり、分担研究者の諸般の事情もあって共同の研究会を持つことが難しかった。 研究成果の社会的発信としては、浄土宗や日蓮宗の教化教育の研修会に分担研究者の大谷と代表者の櫻井がそれぞれ講師として招かれ、過疎と寺院、少子高齢化時代における寺院の社会的役割にかかる事例紹介や検討会を行った。 学術的成果公表としては、分担研究者の川又が「過疎地域における宗教ネットワークと老年期宗教指導者に関する宗教社会学的研究」(川又の科学研究費補助金研究報告書、代表者も分担執筆している)をまとめた他、宗教とソーシャル・キャピタル論にかかる研究報告はなしたものの、寺院関連での報告は少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、秋田県の曹洞宗寺院における過疎化の現状と隣接県の岩手県三陸地域の寺院に関して、前者は北海道大学のチームで聞き取り調査を春から夏にかけて行い、後者に関しては他機関調査もしくは宗務所等での聞き取り調査を実施する予定である。 また、9月に実施される日本宗教学会のテーマセッションにおいて「人口減少社会における寺院仏教の役割」と題するテーマセッションを実施し、研究代表者、研究分担者の川又が真宗高田派調査、同じく分担者の猪瀬が総合研究所と合同で浄土真宗本願寺派の調査から知見をまとめ、上記の課題に対してフロアの学会関係者とともに討議を行う予定である。 最後に、本科研の3年間の成果と分担研究者の川又の基盤研究C「過疎地域における宗教ネットワークと老年期宗教指導者に関する宗教社会学的研究」(2011-13年)の成果を合わせた形での学術出版の準備を行い、遅くとも2015年には北海道大学出版会から刊行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
寺院調査は継続的に進められているが、2013年度は研究代表者の櫻井が8月中盤から2014年3月まで香港中文大学に出張していたので、分担研究者が主な調査活動を実施することになり、分担研究者の諸般の事情もあって共同の研究会を持つことが難しかった。そのために、研究代表者が使用する予定であった寺院調査等旅費が半年分、および研究会合費の繰り越しが生じた。 寺院調査費の繰り越し分に関しては、秋田県の曹洞宗寺院における過疎化の現状と隣接県の岩手県三陸地域の寺院に関して、前者は北海道大学のチームで聞き取り調査を春から夏にかけて行い、後者に関しては他機関調査もしくは宗務所等での聞き取り調査を実施することで支出する予定である。また、会合費関連も9月に実施される日本宗教学会のテーマセッション「人口減少社会における寺院仏教の役割」の事前検討を、研究代表者、研究分担者の川又、同じく分担者の猪瀬が総合研究所とで行う予定である。
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Research Products
(7 results)