2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520064
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森本 一夫 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00282707)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 系譜 / ムハンマド一族 / シーア派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は著書Genealogy of the Prophet’s Family in Medieval Islamの完成に向け作業を進めた。平成25年度末に,この著書における議論の重要な前提について2名の世界的な権威から疑義を呈され,平成26年度はその問題の検討に時間を費やしたこと,その結果,彼らの疑義の誤りが判明したことは,昨年度の実施状況報告書に記した通りである。その後,この見直し作業は,14~15世紀の十二イマーム・シーア派コミュニティの活動に関する一連の重要な新知見につながることとなった。今年度は,それらの新知見を著書原稿に組み込む作業を行うとともに,国際学会発表1本と英語論文2本(英文論集の一章[編者受理済み]と国際査読誌投稿論文[補訂稿審査中])を通して,著書に先行する形でその成果発表を行った。また,昨年度和文で予備的な論考を刊行した,ティムール家をムハンマド一族として描写する新史料に関する英語論文を作成し,国際査読誌に受理された。 世界的な権威による「結果としては誤りだった疑義の呈示」などにより,研究期間中に著書を完成させることはできなかった。しかし,そのようなできごとのおかげで研究自体の水準は飛躍的に向上した。研究期間終了後も,イスラーム法にもとづく司法手続きの中での系譜学者の権能についての議論を含むこの著書の作成を続け,できるだけ早く完成させる。ムハンマド一族による内婚的婚姻戦略に関するイスラーム法学上の議論の変遷に関する研究についても,研究期間中に収集した文献の検討をさらに進め,形にしていきたい。
|