• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

コンディヤックとボネに見る感覚から知性への発展-感覚論哲学比較研究-

Research Project

Project/Area Number 24520085
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

飯野 和夫  名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (30212715)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords感覚論 / コンディヤック / ボネ / デリダ / 知性
Research Abstract

本研究の目的は、コンディヤックとボネという二人の代表的感覚論者を共に視野に入れた、感覚論哲学の総合的研究の第一歩をしるすために、先の科研費研究などの研究の蓄積の上に、コンディヤックとボネの感覚論の比較を本格的に進めることである。その際、感覚論の要点である、感覚からの知性の発展という考え方を中心に据える。また、感覚論全体の現代に通じる意義をも究明しようとする。
平成24年度は、基本的にはコンディヤックとボネの思想の比較作業のための準備期間であった。特にコンディヤックの側には、時間とともに彼の思想が少しずつ変遷を遂げたという事情があり、その経緯をあらかじめ把握しておく必要がある。そのために、コンディヤックの感覚論関係の著作を検討して、彼の思想の変遷を跡づけた。この作業の一部は、日仏哲学会で発表し、論文もまもなく公表する予定である。なお、研究に当たっては、現代哲学を代表するデリダを含む現代の諸研究を参考にし、感覚論哲学を現代の視点から捉え返すことも試みた。一方、ボネの側でも感覚論思想を再確認しなければならないが、この作業には着手するに至らなかった。
平成24年度には、パリ、ジュネーヴで調査研究を行った。コンディヤックが自己の諸著作の刊本の余白に注記したものがパリの国立図書館に収められているが、これを閲覧した。また、版を重ねたコンディヤックの『人間知識起源論』の、版による内容の異同について、同図書館とジュネーヴ公立図書館で調査した。こうした作業は、コンディヤックの思想の変遷をたどる上で有益であった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成24年度は、コンディヤックとボネの思想の比較作業のため、双方の思想の分析・検討を進める予定であった。コンディヤックの側では、感覚論関係の著作である『人間知識起源論』、『感覚論』、『考える技術』などの著作を検討して、彼の思想の変遷を跡づけた。この作業の一部は、日仏哲学会で発表し、論文もまもなく公表する予定である。研究に当たっては、現代哲学を代表するデリダを含む現代の諸研究を参考にし、感覚論哲学を現代の視点から捉え返すことも試みた。このようにコンディヤックの側では研究は進展を見た。
一方、ボネの側でも、『心理学論考』と『精神能力分析論』における感覚論思想を、両著作の間での概念の異同にも注意を払いつつ再確認する予定であった。しかしながら、コンディヤック側での作業が予想以上に手間のかかるものであったため、ボネの側での作業には着手するに至らなかった。この点で、研究全体の現在までの達成度は予定よりやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

コンディヤックの感覚論関係の著作である『人間知識起源論』、『感覚論』と、ボネの同様の著作である『心理学論考』、『精神能力分析論』との比較の作業を実際に進める。内容的比較とともに、ボネが残した『自伝』などを資料に、相互の具体的な影響関係についても調査検討する。
感覚論は、感覚から知性が発生すると見なす点に特質があるが、この発生の過程の分析を内容的な中心に据えて比較研究を進める。この分析に関して、コンディヤックは記号の働きが重要な役割を果たすと考える。一方、博物学者でもあったボネは生理学的視点を取り入れ、脳の神経繊維が網状組織を形成すると想定した。このように両者の探求の特徴を明らかにしつつ比較研究を進める。感覚、感情、知性とそれらの関係が、両者によってどのように分析されているかにも注目する。以上の検討に際しては、現代の研究者の考察も十分に取り入れる予定である。資料としては、基本的に、すでに入手済みの各著作の刊本を利用する。両者の具体的な関係についても、ボネが残した自伝などを利用して検討する。
なお、平成25年度にも、ジュネーヴ、パリへの調査研究旅行を予定している。今回は特に、ジュネーヴ公立図書館に収蔵されているボネの草稿類、著作の原稿など、今だ研究が進んでいない資料を閲読し、本研究に活用する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] コンディヤック著『人間知識起源論』の出版後間もない改訂について

    • Author(s)
      飯野和夫
    • Organizer
      日仏哲学会
    • Place of Presentation
      京都大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi