2012 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本ナショナリズム論-戦争の集合的記憶に関する日中比較思想史研究
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24520090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
樋口 浩造 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (30243140)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナショナリズム / 戦争の記憶 / 日中比較思想史 / 集合的記憶 |
Research Abstract |
中京民間抗日戦争博物館では、館長と一時間前後歓談する時間がとれ、中国における「民間」の重要性について貴重な話を聞くことができた。南京師範大学では、虐殺研究センターの主任張先生と歴史を学ぶ大学院生30名との、小さなシンポジウムの形で交流し、「靖国神社問題と日中関係」と題して報告も行った。センター側からは中国でのBC級戦犯問題ついての報告があった。 また、南京に残る福安里の旧慰安所では、当時からのその建物の持ち主である李さんに、インタビューを行うことができた。これは活字に起こして、記録に残す予定である。また、アジア最大の慰安所、利済巷を調査することができた。また、二度目であるが、南京大虐殺記念館にももちろん訪問し展示を見た。 また、上海では、現在の中国のあり方を象徴するものであるが、戦争の悪い記憶はすべて旧日本軍の遺跡として保存・展示され、フランス租界などは、おしゃれな上海の最先端の街・新天地のように再開発され利用されている。中国ナショナリズムにおける、戦争の記憶の使い分けに注目して調査を行った。 今後も中国での現地調査を継続していく。アジアの他の地域についても、戦争の集合的記憶の問題として比較の視点を取り入れていきたい。 また、日本各地における戦争の記憶の掘り起こしや保存についても継続的な活動を続けていく。また、こうした記憶と思想的テクストとの方法的交差点を今後も探っていきたい。歴史学上の問題とされがちな、記憶の問題を思想史上の問題として問題化する試みを続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査はかなり充実して行なえている。そのため評価としてはおおむね順調であるが、それが思想的テクストとどのように交差するのか、方法的模索の状態が続いており、戦争の記憶に関する、記録は成果として残しているが、思想史研究としての成果にはまだ至らないでいる点が、不十分なところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日中の戦争の記憶の比較を少し多元化するために、台湾やシンガポールの華僑の戦争の記憶、あるいはドイツにおける記憶のされ方など、少し複眼的にナショナリズムや戦争の記憶を考察しうるような調査活動を行いたい。 また、南京での聞き取り調査は成果として公表していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シンガポール・台湾・ベルリンやアウシュヴィッツ等への調査のため旅費が執行の中心となる。
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Research Products
(1 results)