2014 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本ナショナリズム論-戦争の集合的記憶に関する日中比較思想史研究
Project/Area Number |
24520090
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
樋口 浩造 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (30243140)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 招魂祭 / 慰安所 / 万人坑 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、活字としての実績を残すことはできなかったが、学会シンポジウムでのコメンテーターをはじめ、戦争の記憶や靖国に関する報告をおこなった。そのようなことがきっかけにもなって、日本での慰霊のあり方として、幕末の招魂祭に注目するようになった。下関市桜山神社や、京都東山霊山での調査を行ったが、これは今後も継続して行う予定である。招魂社と靖国神社とのあいだのズレに着目することで、幕末の志士のあり方を浮き彫りにするような研究ができないか模索中である。薩長閥に組み込まれた形で成立する靖国神社と、宗教を問わず幕末の志士たちが斃れた先人を祀ろうとしたこととの間にあるズレへの着目である。日本のナショナリズム発生の、根源的な場である靖国神社への、新しいアプローチを考えるようになった。 また、基礎的な研究として、大府での中国人強制連行に関する、資料の収集・整理を行っている。特に地崎組の訴追の準備をしていた、GHQの文書に注目しているが、まだ整理段階である。と同時に、上海の慰安婦歴史館を初めて訪ね、また大一サロンをはじめ、今も残る元慰安所の建物を上海で確認した。山西省大同では、ミイラ化した万人坑の調査をおおこなった。中国での戦争の記憶のされ方に関する調査研究も、地道に継続している。 また、愛知県内の戦争遺跡として新たに、知多半島の河和海軍航空隊の遺跡に気付き調査を行った。まだ未見の戦争遺跡がいくつも残っており、次年度も継続して、調査を行って行く予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年同様、調査・研究は継続しているが、それを思想史的に論じる方法で苦慮している。 調査や、資料収集はむしろ順調であるが、それらをどのように総合するかで、立ち止まっている現状がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
基礎的な、資料収集や整理、調査等は継続して行っていく。 また、成果を活字化していく。
|
Causes of Carryover |
3月での中国の調査が、書類が間に合わず、次年度での決算となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月に3月分は決済の予定である。
|