2014 Fiscal Year Annual Research Report
フランチェスコ・ディ・ジョルジョの芸術-15世紀後半シエナとウルビーノの芸術交流
Project/Area Number |
24520099
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上村 清雄 千葉大学, 普遍教育センター, 教授 (60344959)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フランチェスコ・ディ・ジョルジョ / アントニオ・バリリ / シエナ / ウルビーノ / インタルシア / 理想都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
15世紀シエナに展開したルネサンス美術の特質を探求するために、シエナ出身でありながらシエナ以外でも活躍した建築家、画家、彫刻家、芸術理論家フランチェスコ・ディ・ジョルジョ(1439―1502)および彼の共同制作者である同じくシエナ出身のインタルシア(寄木芸術)作家アントニオ・バリリ(1453-1516)のウルビーノを中心とするマルケ地方での活動をあとづけた。 とりわけウルビーノのパラッツォ・ドゥカーレ内ストゥディオーロ(小書斎)、および同パラッツォの門扉に制作されたインタルシア装飾を分析し、ストゥディオーロのインタルシア装飾のなかで達成された書見台を中心とする広がりのある空間表現を示す東南の区画、あるいは同パラッツォの「公爵妃寝室」の門扉などに表された都市景観にフランチェスコ・ディ・ジョルジョの関与を見出す先行研究を支持した。さらに、これらの造形とウルビーノで制作されたと考えられる通例「理想都市」と呼ばれる三点の都市景観を表わした板絵との比較をおこない、特にフランチェスコ・ディ・ジョルジョ芸術に特徴的な開口部から遠景をのぞかせる建築表現に注目しながら、一点はウルビーノ出身でミラノ、ローマで活動した建築家、画家のドナート・ブラマンテ(1444-1514)の手になり、残り二点はフランチェスコ・ディ・ジョルジョおよび彼の工房が制作したとする、シエナ大学アレッサンドロ・アンジェリーニ教授の仮説の妥当性を示した。さらにマルケ地方ファーノはサンタ・マリア・ヌォーヴァ聖堂内インタルシア装飾の熟覧を踏まえて、アントニオ・バリリのマルケ地方からシエナ帰還後の芸術展開を検討し、演劇的な所作を示す人体表現にウルビーノ芸術からの影響を示唆した。 以上の現地調査、および、シエナ大学アンジェリーニ教授、フィレンツェ大学アンドレア・デ・マルキ教授との意見交換を踏まえて研究成果報告書を公刊した。
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Research Products
(2 results)