2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520122
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
金子 典正 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (50339644)
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Keywords | 中国 / 四川省 / 中国早期仏像 |
Research Abstract |
本研究の第二年次にあたる平成25年度の主な研究成果は以下の通りである。 当該年度の目標は前年度に実施した長江上流域の調査の継続と長江中流域の早期仏像に関する調査研究であった。 調査日と調査地は平成25年4月26日 ~5月5日に四川省成都市および湖北省武漢市とその周辺地域、平成25年9月18日 ~9月23日に四川省成都市、平成25年12月27日 ~平成26年1月10日に四川省成都市および湖北省武漢市とその周辺地域、平成26年1月22日 ~1月24日に台湾台北市故宮博物院にて調査を行った。また平成25年9月10日 ~9月14日に早稲田大学中央図書館で文献調査を行うなど、年度を通じて調査地及び関連遺跡に関する文献調査を行った。 調査研究の具体的内容は、四川省の四川博物院などの公立博物館のみならず、同市内の華通博物館、朱成私立石刻芸術博物館、巴蜀漢陶芸術博物館といった私立博物館を訪れ、後漢時代の仏像付揺銭樹や画像石の秘戯図など早期仏像に関する幾つかの新資料を見出すことができたのは大きな成果であった。また湖北省では湖北省博物館、武漢市博物館、荊州市博物館、鄂州市博物館の調査を行い、とりわけ鄂州市博物館は25年10月に新建されたばかりであり、その展示内容は旧館と比して格段に充実していた。1992年に同市鄂城から出土した三国時代とみられる釉陶仏像など、ここでも幾つもの未見の作例を実見することができたのは本研究にとって大変有意義な調査となった。 当該年度の研究成果は、長江上流域から中流域へ調査地を移して各地の作例を実見すると共に地域性を踏まえながら考察を重ねたことにより、長江流域における早期仏像の成立過程と伝播ルートの問題について、従来の研究では指摘されていない新知見が固まりつつある。調査資料の整理と考察を重ねつつ、あわせて最終年度となる26年度の長江下流域を中心とした調査の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は長江上流域と中流域の中国早期仏像に関する調査研究であったが、予定通りに当該地の四川省成都市および湖北省武漢市を中心とする地域において現地調査を概ね実施することができた。ただ、再調査を予定していた四川省眉山市江口漢墓については当方と先方の予定が合わず、さらに同省成都市博物館および綿陽市博物館は引き続き建設中であったため、これらの調査は次年度に行いたいと考えている。調査結果の整理と考察結果のまとめは未だ途上だが、その成果の一部を論文として発表した。また、最終年度の長江下流域の早期仏像の研究の準備も徐々に行った。こうした理由から本研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年次にあたる平成26年度の研究は、上記の四川省江口漢墓などの再調査を行うと共に、当初の計画通りに長江下流域の早期仏像とりわけ三国時代から制作された神亭壺を中心に各地を調査する予定である。江蘇省では南京市にあるリニューアルされたばかりの南京博物院、南京市博物館、蘇州博物館、鎮江市博物館など、浙江省では浙江省博物館、新建の紹興市博物館と寧波博物館など、さらに江南各地の早期仏像関連遺跡、早期仏像に続く南北朝時代の仏教美術の関連遺跡を踏査する予定である。また、早期仏像の関連資料を所蔵する北京市中国国家博物館、欧米の博物館などの調査も積極的に行いたいと考えている。こうした実地調査を遂行することにより、早期仏像の問題のみならず南北朝時代の南朝仏教美術の成立を考えるうえでも有意義な成果が期待されるだろう。 今後の研究方法も当初の計画通りに引き続き出来るだけ多くの作例を実見しつつ出土地を確認することに努めたい。また、それらに関連する精緻な文献調査を継続して実地調査結果の分析を進め、各地の早期仏像の成立背景、相互関係、伝播ルートの問題等について考察を重ね、研究発表を行うとともに論文を執筆する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費と旅費の使用額に変更が生じたため。 次年度の旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)