2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520127
|
Research Institution | The National Museum of Western Art, Tokyo |
Principal Investigator |
大屋 美那 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (40342943)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 雅子 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (70392561)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | コレクション研究 / 国政文化交流史 |
Research Abstract |
本科学研究費による研究では、松方幸次郎および松方コレクションについての資料を集約、分類し、今後の研究資料として公的に活用することができるように利用態勢を整えることを目的としている。これに合わせ、これまで知られることのなかった資料の収集を進める。平成24年度は、松方コレクション関連資料全体のうち、まずは同コレクションに関連した展覧会図録をリスト化すること、その際国立西洋美術館内に保管されている図録の整理にあたること、その他館外保管の資料に関してはその分散範囲を把握し、重点的調査箇所を特定、実地調査および資料の収集を行うことを目標とした。このうち、松方コレクションを対象とした展覧会図録については、まずはその定義が問題となった。松方が取得した作品が展示された展覧会という定義したものの、個々の図録を精査すると、各展覧会における松方コレクション関連作品との関わり方には多様性があることがわかった。展覧会開催が松方購入以前か以後か、松方コレクションと明記しているか否か、同コレクションに組み込まれた作品の展示規模などの違いがあり、平成24年度はそのどこまでをリストに組み込むかという方針を決定し、分類作業を行った。その他館外保管資料調査では、フランスおよびアメリカに残る資料の追加収集を行うことを目指し、アメリカにおいては議会図書館で松方幸次郎著の文献を収集した。フランスについては年度内に調査を行うことができなかったため、平成25年度に今年度分の調査を合わせて行うこととする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外における松方コレクション関連の資料収集については、当該年度ではアメリカ合衆国議会図書館での調査を行い成果を上げたが、ヨーロッパの機関については、各機関にどのような資料が保管されているのかを確認する作業に時間を要したこと、調査のための日程を組むことができなかったことにより、実際に訪問調査を実施することができなかった。また、研究資料の公開に向けたシステム構築に関しては、まずは松方コレクション関連展覧会図録について着手したが、各展覧会の性質が予想以上に多様であったため、同カテゴリーの定義の検討に時間を多く要し、実際の公開には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
松方関連資料の収集に関しては、当該年度にリスト化したヨーロッパ各国の関連資料保管機関を中心として訪問調査を行い、資料の収集を進める。さらに、各資料の内容や保管の経緯などを分析し、松方コレクション関連資料の全体像の把握を行う。最終的には同コレクション関連資料全体の広がりと内容を精査した報告書を作成することを目標とする。合わせ、これまでに収集した資料でとくに欠けているものが目立っていた松方幸次郎自著の文章について、さらに収集を進め、これだけのコレクションを実現した人物像についての理解を深める。これらの資料の公開に向けては、まずは展覧会図録リストを公開し、その後、その他資料の分類、検索のための情報の整理、公開/非公開の定義などをそれぞれ検討し、システムを構築する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、当該年度に実施できなかったヨーロッパ、とくにフランス、ドイツの各機関の保管資料の収集を実施し、収集した資料の分析を進める。調査対象となるのは、国立美術館資料室(パリ)、外交資料館(ナント)、ドイツ美術史資料館(パリ)、ウィルデンシュタイン研究所(パリ)。国立美術館資料室(パリ)所蔵のベネディット・アーカイヴについては、これまでにその一部を取得しているが、そのなかから、ベネディットが作品収集でコンタクトをとった画廊および作家のリスト、松方コレクション返還プロセスが進行する中で貸し出された展覧会のリストを作成する。これらの個別の画商名や美術館/展覧会名はこれまでまとめられたことがなく、こうしたリストに基づき、新たに関係画商や美術館の調査に方向を進めることにより、松方コレクションに含まれる作品の来歴や展覧会歴が明らかになる。松方幸次郎氏著作関連については、引き続き収集資料の分析を行う。当該年度にリスト化を進めた松方関連展覧会図録については、そのリストの公開を開始し、その他の研究資料については分類に着手する。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
-
[Book] 西洋美術史2012
Author(s)
大屋美那ほか(共著)
Total Pages
pp. 165-177(総ベージ数pp.205)
Publisher
朝日新聞出版