2014 Fiscal Year Research-status Report
ゴードン・マッタ=クラークの作品と1970年代の自然観
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24520149
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平野 千枝子 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (20402018)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アメリカ / 自然 / 1970年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゴードン・マッタ=クラーク作品に見られる自然観を同時代の美術と思潮に照らして明らかにし、現代の視点から検討を加えることを目的とする。本年度の計画は、素描作品の調査と分析、アースアートとの関係の考察、1970年代の思潮との関係に関する考察であった。 昨年度に引き続き、アースアートの代表的な作家の一人であるロバート・スミッソンの研究状況を概観するとともに、マッタ=クラークの作品との比較を試みた。12月にはモントリオールのマッタ=クラーク・アーカイヴ、「アースアート」展が行われたコーネル大学のアーカイヴ、スミッソン・ペーパーズが所蔵されるスミソニアン研究所アメリカ美術アーカイヴにおいて調査を行い、アースアートとマッタ=クラークの関係を明らかにした。 また、1970年代の思潮、とりわけカウンター・カルチャーにおける錬金術の位置づけという昨年度に得た主題については、今年度、ジャクソン・リアーズやマイケル・リージャといった歴史家や美術史家の方法を検討したことにより、今後の分析の足掛かりを得ることができた。 最終年度に予定した展示による成果の発表は、先延ばしになるとともに、本研究課題を出発点としたより大きな規模での展覧会開催に向けて準備が始まった。出品候補作品として、残されたものを具に調査する過程で新たな発見があり、また調査を通じて美術館や遺族、各国研究者等の関係者との連携も深化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題への取り組みは、ほぼ予定通り進展している。最終年度に予定した成果発表のための小展示は先延ばしとなったが、この予算の一部を前倒ししてアーカイヴ調査を行うことができた。展示自体は将来の実現に向かっており、より広く研究成果を発表できる機会となることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、未見の資料体(コネティカット、パリ、アントワープ他)の調査を、可能な限り行う。特に1970年代の思潮との関連というテーマについて研究成果をまとめ、公表する。展覧会準備を通じて、将来の成果公表に備える。
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