2012 Fiscal Year Research-status Report
小説と映画のあいだー川端康成と小津安二郎の芸術における〈日本〉ー
Project/Area Number |
24520151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田村 充正 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30262786)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本 |
Research Abstract |
研究課題「小説と映画のあいだ―川端康成と小津安二郎の芸術における〈日本〉―」に基づく基礎研究をおこなった。川端と小津をめぐる文献を渉猟し、ジャンルの異なる二人の芸術家の接点を探った。また両者を結びつける鎌倉の地を踏査し、鎌倉市教育委員会および同文化課を訪ね、川端康成記念会の会長である川端香男里氏邸では、研究課題への協力をお願いした。 小津安二郎監督の映画作品に関しては、東京築地にある松竹大谷図書館に通い、その準備校と完成校、英文校の比較研究に取り組んだ。さらに研究成果を公表するにあたって必要な著作権問題を解決するために松竹映像ライツ部と連絡をとり、小津映画のDVD映像利用に関する松竹の基本的な考えをうかがった。 平成24年4月から開始したこうした研究活動の成果の一部を、平成24年12月22日(土)に鶴見大学で開催された川端康成学会第158回例会において、「川端康成「山の音」と小津安二郎監督『晩春』―小説と映画のあいだ―」と題し、研究発表をおこなった。この発表は平成25年6月に刊行される予定の川端康成学会の年報『川端文学への視界28』(銀の鈴社)に掲載されることになる。 平成24年度に十分取り組めなかった川端康成原作の映画研究については、年度末に大阪府茨木市にある川端康成文学館を訪ねて館長である田中洋子氏のご協力をいただき、同館の資料の閲覧によって、今年度の課題を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に記載したとおり、文献調査、フィールドワーク、研究課題関係者との面談と、それぞれ計画どおりに進んでいる。ただすべての関係者から協力の承諾を現時点で受けられているわけではない。 中間発表ながら、科研費テーマにそった学会発表を12月におこない、学会参加者からの評価を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
川端康成作品の「山の音」と小津安二郎監督作品の『晩春』については、その関係性をそれぞれの芸術の構造上の詩的特性から説明したが、これ以外の作品を対象にさらに研究を進め、その関係の全体像を描く必要がある。また研究課題である両者の芸術における「〈日本〉」の問題に取り組まなければならない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定どおりの直接経費110万円をもとに、継続課題である川端康成の原作をもとにした映像作品の整理と発掘、川端康成と小津安二郎の作品をめぐる海外の評価の資料整理と考察にも焦点をひろげて、これを使用する計画である。
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