2013 Fiscal Year Research-status Report
小説と映画のあいだー川端康成と小津安二郎の芸術における〈日本〉ー
Project/Area Number |
24520151
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田村 充正 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30262786)
|
Keywords | 川端康成 / 小津安二郎 / 小説と映画 / 詩学 |
Research Abstract |
研究課題である川端康成と小津安二郎監督の作品をめぐって、平成25年度は下記の論文と編著を著した。 ■「川端康成「山の音」と小津安二郎監督『晩春』─小説と映画のあいだ─」(銀の鈴社、2013年6月)p.102-125(この論文では、戦後まもない昭和24年の鎌倉を舞台にした両作品を、小説と映画というジャンルの差異を超えて、それぞれの芸術的手法から比較し、それぞれが言葉によるまた映像によるそれぞれ独自の詩学によって創造されていることを検証した。) ■『川端康成作品論集成第八巻』(おうふう、2013年11月25日)481頁(上記の編著においては、研究文献目録(p.448-462)を作成し、研究史(p.463-481)の執筆をおこなった。研究史においては「山の音」研究史を大きく三つの時期に分け、〈「山の音」論争〉が展開された第二期が「山の音」研究を飛躍的に進展させたことを論じた。) また、川端康成作品の映画化というテーマで下記の講演をおこなった。 □「川端康成「美しさと哀しみと」─小説と映画のあいだ─」(茨木市立川端康成文学館主催、8月25日)(この講演では、日本版映画「美しさと哀しみと」を制作した篠田正浩監督が同じ松竹の監督であった小津安二郎作品から強い影響を受けていることを指摘した。) このほか次年度(平成26年度)9月にフランス・パリで開催される予定の国際シンポジウムで研究発表をするための資料蒐集を渡仏しておこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
川端康成と小津安二郎監督のジャンルの異なる両作品を比較した論文を1本上梓できた点、また映画化された川端康成作品について講演、論文の準備ができている点は、当初の研究計画にそって順調に進んでいるといえるが、両芸術家の関係性を実証のレヴェルで調査、研究するという目標は十分に進んでいない。さらに研究題目の中に課題としてあげた両芸術家における〈日本〉とはなにかという問題については、現在検討中でまだかたちにできていない点は今後の課題といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成26年度9月)にパリで開催が予定されている川端康成をめぐる国際シンポジウムに参加することになっているので、それまでに上記課題を克服し、川端康成と小津安二郎という日本を代表する両芸術家をめぐる研究の成果を発表できるよう、詩学と実証調査という両面から研究を進める計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定全額の使用をめざしたが、計算ミスにより少額残ってしまった。 今年度予定全額の使用を計画的に進める。
|