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2012 Fiscal Year Research-status Report

戦後ドイツにおけるフォークリバイバルの音楽文化論的研究

Research Project

Project/Area Number 24520156
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

阪井 葉子(三谷葉子)  大阪大学, 文学研究科, 研究員 (50243142)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywordsポピュラー文化 / 音楽民俗学 / 口承性 / メディア社会 / 国民文化論 / フォークリバイバル運動 / 対抗文化 / フォークフェスティバル
Research Abstract

高度産業化・メディア化社会における民謡・伝統歌謡継受の形態としてのフォークリバイバル運動、特にその実践の場である「フォークフェスティバル」と呼ばれる対抗文化的な歌謡祭を主要な対象として取りあげる本研究では、フォークリバイバル運動ならびにフェスティバルについての文献調査とインタビュー調査が両輪をなしている。
平成24年度において研究代表者は、マインツ・カバレット文書館でテュービンゲン歌謡祭関連の一次資料を調査するとともに、ドイツ語圏ならびに運動の発信地である英語圏のフォークリバイバル運動についての二時文献、ポピュラー音楽理論の文献の収集に努め、購入の不可能な資料は、ベルリンの州立図書館ならびにフンボルト大学図書館で閲覧した。マインツの文書館およびテュービンゲン歌謡祭の主催者だったエッカルト・ホラーの協力により、同歌謡祭のプログラムの大半を入手することができた。二次文献からは、フォークリバイバル運動と先行する民謡研究との関係や、ポピュラー音楽の社会における位置について、新たな知見を得ることができた。
また新たに、テュービンゲン歌謡祭で音楽面の責任者だったベルンハルト・ラッサーンと、東方ユダヤ人の言語イディッシュ語による歌謡の研究と演奏に従事してきたマンフレート・レムにインタビューする機会を得、伝統音楽の継承と音楽上の実験の両面において豊かなイタリアのフォークリバイバル運動や、東方ユダヤ人の歌謡伝統がドイツ語圏のフォークフェスティバルに与えたインパクトについて聞くことができた。これにより、伝統歌謡の継受の現場であるフェスティバルが19世紀的な国民文化論のディスクールを突き崩すフィールドとなっていったことを確認するという、本研究の当初の目的に近づいた。
連携研究者は基本文献の購入に努めている。研究協力者は一次資料の収集の購入の傍ら、他の資金によりアメリカとドイツでの調査をおこなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

文献調査では、テュービンゲン歌謡祭のプログラム、企画書や手紙類のコピー、新聞批評など多くの基礎資料を集めることができた。
インタビュー調査では、渡独のタイミングと期間が限られるため、今回会うことのできなかったインフォーマントもいたが、追加のインタビューで、できなかった分を補う以上の成果を上げることができた。また、これまでのインタビュー相手からさらに、旧東ドイツのフォークフェスティバルの主催者などフォークリバイバル運動の関係者を紹介され、インタビューの予定や情報収集のために連絡を取り合っている。
研究協力者および関西在住のポピュラー音楽研究者と密接に連絡を取り合い、情報交換も進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

他の大規模なフォークフェスティバルとの比較により、テュービンゲン・フォークフェスティバルを核とする本研究にさらに拡がりを与えるため、テュービンゲン以外のフェスティバルについての一次資料と批評を文書館で収集するとともに、参加した歌手や主催者にインタビューをおこなう。背景となる社会状況が大幅に異なるため特に注目に値するのは、旧東ドイツのフォークフェスティバルであるが、この分野では、旧東ドイツポピュラー音楽の研究者である研究協力者との連携のもとに調査・研究を進める。
日本国内では、当初予定していた以上に英語圏その他のポピュラー音楽の研究者から協力を得られる見込みのため、研究情報の交換に努める。また、連携研究者、研究協力者の他に、こうしたポピュラー音楽研究者や伝統音楽の研究者の協力も得て、ワークショップやパネルディスカッションの企画をおこなう。
研究代表者、連携研究者、研究協力者とも、国内外での学会・シンポジウムでの発表、さらに論文や著書の執筆において研究成果の発信をおこなう。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度は研究代表者がドイツで文献調査ならびにインタビュー調査をおこなうとともに、連携研究者がオーストリアのロマの楽師が開催するフォークフェスティバルの調査をおこなう予定であり、海外旅費が大きな比率を占める。
物品費としては、フォークフェスティバルやポピュラー文化についての一次資料、二時資料の購入や複写、インタビュー調査に用いる機材やコンピュータ周辺機器の購入が見込まれる。
関東在住の連携研究者との情報交換のため、国内旅費の使用も予定している。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 「殺人者の国」に響く故郷の歌 ドイツのフォークリバイバル運動におけるイディッシュ・ソング2013

    • Author(s)
      阪井葉子
    • Journal Title

      大阪音楽大学研究紀要

      Volume: 第51号 Pages: 5-23

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] イディッシュ語で歌うドイツ人グループ「エスペ」 ドイツに響くユダヤの歌②2013

    • Author(s)
      阪井葉子
    • Journal Title

      春秋

      Volume: 2013年2/3月号 Pages: 20-23

  • [Journal Article] 『ドナドナ』縛られた仔牛の哀歌 ドイツに響くユダヤの歌③2013

    • Author(s)
      阪井葉子
    • Journal Title

      春秋

      Volume: 2013年4月号 Pages: 20-23

  • [Journal Article] 出発点としてのヴァルデック城 ドイツに響くユダヤの歌①2012

    • Author(s)
      阪井葉子
    • Journal Title

      春秋

      Volume: 2013年1月号 Pages: 17-20

  • [Book] アートセラピー再考――芸術学と臨床の現場から、川田都樹子・西欣也編2013

    • Author(s)
      高岡智子(共著)
    • Total Pages
      118-142担当
    • Publisher
      平凡社

URL: 

Published: 2014-07-24  

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