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2014 Fiscal Year Research-status Report

ドイツ・ニューシネマにおける「文学的」映画の研究

Research Project

Project/Area Number 24520172
Research InstitutionTokyo International University

Principal Investigator

渋谷 哲也  東京国際大学, 国際関係学部, 准教授 (90438789)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywordsドイツ映画 / 脚色 / ニューシネマ
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、昨年度の日本独文学会シンポジウムでの発表「ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーのオリジナリティ」を論文化してシンポジウムの叢書の形で発表した。ファスビンダーの既存のテクストや歴史の引用が実は作者のオリジナルなテクストへと読み替えられることを考察したものであり、本研究のニュージャーマンシネマのテクストと映像の関係を具個別の映画作家で検証するものである。
またストローブ=ユイレの映画について研究考察を進めるために、映画上映と講演とを組み合わせた催しを東京と神戸で計8回開催した。作品は全て文学作品を原作としたものであり、とりわけ原作テクストの映画での使用方法と、ストローブ=ユイレの原作解釈の立場を詳細に検証し、それが彼らの美的特性と社会批判性の双方と有機的に結びついていることを明らかにした。対象作品は多岐にわたり、ハインリヒ・ベル、フランツ・カフカ、アーノルト・シェーンベルクなどドイツ語圏のテクストの映像化だけでなく、チェーザレ・パヴェーゼの小説や戯曲の映画化も扱い、考察の幅を広げることを試みた。これらの研究成果は、今年度論文として順次執筆し最終的に単著として刊行する予定であったが、研究対象が原作・映画化ともに非常に難解であることに加え、世界のニューシネマおよび戦後ドイツという歴史的文脈においてもストローブ=ユイレの位置付けを検証することで幅広い考察を必要とすることが次第に明らかになり、この課題は今年度中に完了させずに、次年度以降も継続的に取り組むことにした。
そのためニュージャーマンシネマ(シュレーター、ヘルツォーク等)と現代のドイツ映画(新ベルリン派)についての考察も交え引き続き研究を進めており、順次研究論文を準備している状況である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本来ならば今年度において、ストローブ=ユイレについての研究成果を単著として発表するはずだったが、映画の検証は予想以上に幅広い知見と詳細な分析を必要とし、またそれに先立ち1960‐70年代のニューシネマの世界映画史的・社会史的コンテクストを明確化することで、改めて全体像を把握する必要があることがより明確になった。そこで今回の研究期間に単著として発表する内容を、私がこの10年余の間に行ってきた戦後ドイツ映画の研究を総括することでそこから新たなニューシネマ検証を端緒を見出すことに変更し、現在その出版に向けて準備を進めているところである。そのため当初の研究計画に沿った成果はまだ十分に生み出されているとは言い難いが、元来の目標に従って着実に成果は発表できるものと考える。

Strategy for Future Research Activity

現在戦後ドイツ映画についての拙論を纏めた著書『ドイツ映画零年』の出版に向けて、現在校正作業を行っている。7月までには出版の予定である。その後はこの内容を基盤にして、さらにニュージャーマンシネマにおけるテクストと映像の関連をブレヒトの演劇論やメディア理論との関連でさらに掘り下げてゆく予定である。ストローブ=ユイレおよびファスビンダー作品の検証を映画理論と社会批判の文脈で進め、東京と神戸における映画上映と講演は今年度も継続する。これらの研究を纏めてさらなる考察へと深化させるために、ニューシネマとブレヒト理論の関連をテーマとした次年度以降の科研費申請の準備をする。

Causes of Carryover

平成26年度に、本研究の成果として単著を出版する予定だったが、掲載論文の内容を当初の予定より大幅に変更することとなったために執筆および編集作業が遅れ、平成27年度前半に出版することになった。その出版補助の費用として計上していた額を、次年度に繰り越すことにした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

単著『ドイツ映画零年』の出版社「共和国」に対し、印刷費及び製本費補助として約60万円(総ページ数が未定のため概算)を支出する。さらに校正作業に要するプリンターのインク代等を支出する。

  • Research Products

    (9 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) Presentation (8 results)

  • [Journal Article] テクスト・歴史・身体の引用― ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーのオリジナリティ2014

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Journal Title

      日本独文学会研究叢書

      Volume: 106号 Pages: 49-63

  • [Presentation] ストローブ=ユイレ、ブレヒト、ワイマール期の音楽劇2015

    • Author(s)
      渋谷哲也、大田美佐子
    • Organizer
      単独企画
    • Place of Presentation
      神戸映画資料館
    • Year and Date
      2015-03-28
  • [Presentation] ストローブ=ユイレからストローブへ2015

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Organizer
      シリーズ企画、ストローブ=ユイレ作品上映+講演
    • Place of Presentation
      エスパス・ビブリオ
    • Year and Date
      2015-03-14
  • [Presentation] カフカを読むストローブ(とユイレ)2014

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Organizer
      単独企画
    • Place of Presentation
      神戸映画資料館
    • Year and Date
      2014-12-20
  • [Presentation] バッハ映画: ストローブ=ユイレのファミリー・メロドラマ2014

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Organizer
      シリーズ企画、ストローブ=ユイレ作品上映+講演
    • Place of Presentation
      エスパス・ビブリオ
    • Year and Date
      2014-11-01
  • [Presentation] 文学映画化の諸相──チェザレ・パヴェーゼの場合2014

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Organizer
      単独企画
    • Place of Presentation
      神戸映画資料館
    • Year and Date
      2014-08-16
  • [Presentation] 『モーゼとアロン』言葉とイメージの対立をめぐって ― ホルガー・マインスへの献辞の謎2014

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Organizer
      シリーズ企画、ストローブ=ユイレ作品上映+講演
    • Place of Presentation
      エスパス・ビブリオ
    • Year and Date
      2014-07-19
  • [Presentation] ニュージャーマンシネマと文学──映像とテクスト新たな関係性を探る2014

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Organizer
      単独企画
    • Place of Presentation
      神戸映画資料館
    • Year and Date
      2014-05-10
  • [Presentation] 映画の国の異邦人 カフカの『失踪者』と『階級関係』2014

    • Author(s)
      渋谷哲也
    • Organizer
      シリーズ企画、ストローブ=ユイレ作品上映+講演
    • Place of Presentation
      エスパス・ビブリオ
    • Year and Date
      2014-04-25

URL: 

Published: 2016-05-27  

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