2013 Fiscal Year Research-status Report
撮影所システム崩壊後の日本映画の製作体制:インタビューを中心とする総合的研究
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24520175
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
木村 建哉 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (10313181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 秀之 立教大学, 現代心理学部, 教授 (00299025)
藤井 仁子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (40350285)
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Keywords | 日本映画 / 撮影所システム / 日活 / ディレクターズ・カンパニー / アルゴ・プロジェクト / 1970年代 / 1980年代 / 1990年代 |
Research Abstract |
2012年度に引き続き、プロデューサー伊地智啓氏へのインタビューを5度にわたって行い、1970年代から90年代映画界の状況の変化に関して、様々な側面からの貴重な証言を得ることが出来た。伊地智氏へのインタビューは、当初予定の4-5回を超えて、2012年度と合わせて既に7回に及び、2014年度にもさらにもう1度行う予定であるが、これは、伊地智啓氏の助監督、そしてとりわけプロデューサーとしての経歴・実績が、我々の予想を超えて遙かに多岐にわたっていたためであり、充実した内容の、これまでに知られていない様々な事実や事情を明らかにするインタビューが実現している。伊地智啓氏へのインタビューは、当初予定では2014年度前半中に単行本として刊行予定であったが、インタビューが予想を超えた分量に達しているため、2014年度後半に出版の予定と変更となった。 また、研究代表者木村建哉は、『おしん』を監督した冨樫森氏(研究協力者)へのインタビューを行い、活字化して公表して(業績欄参照)、現在の日本映画の製作状況の一端を明らかにしている。研究分担者の藤井仁子は、当科学研究費の助成の下、森崎東作品の関係者へのインタビューを行い、各種資料と研究者、批評家等による論考をも集めた編著『森崎東等宣言』を刊行し(業績欄参照)、撮影所システム崩壊後の日本映画の制作状況を伊地智氏へのインタビューとはまた別の角度から明らかにしている。なお、藤井仁子自身による、インタビュー結果を踏まえた論考が同編著には収載されている。同編著には、もう一人の分担者中村秀之も論考を寄せており(業績欄参照)、2013年度においては、プロジェクト全体としても、研究代表者及び各研究分担者個々人においても、撮影所システム崩壊後の日本映画の制作状況を多様な角度から明らかにする研究・調査が大いに進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロデューサー伊地智啓氏へのインタビューは、当初4-5回の計画であったが、その内容が余りに多岐にわたるため、予定を変更し2013年度までに7回のインタビューを行い、2014年度6月には8回目のインタビューを最終インタビューとして行う計画である。当初の予定に比べると、他の関係者へのインタビュー開始が遅れているが、これは、伊地智氏のインタビュー内容が予想を超えてこれまで知られていない多数の事実を含む充実したものであったためであり、計画は、予定通りには進行していないが、予定になかった成果を挙げつつある点で、おおむね順調に進展している。また、研究代表者木村建哉と研究分担者藤井仁子が、それぞれに映画関係者へのインタビューを行って発表していること、藤井とやはり研究分担者である中村秀之が森崎東を巡る論考を発表していることも研究成果であり、この点でも、計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
6月末に伊地智啓プロデューサーの8回目のインタビュー(最終インタビューの予定)を終え、その採録結果を検討した上で更なるスタッフインタビューを行う予定である。伊地智氏のインタビューに関しては、2014年度中に単行本として刊行の予定であり、そこには、撮影所システム崩壊後の日本映画の制作状況を巡る研究代表者及び研究分担者による論考が併せて掲載される予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画では、伊地智啓プロデューサーのインタビューが終了したところで、その成果を踏まえて新たなインタビューイーへのインタビューを行っていく予定であり、それに備えて、人件費・謝金、物品費(資料代)に関しては抑制的な研究費の使用をしていたが、伊地智氏のインタビュー内容が、研究成果欄にも記載したとおり予想以上に多岐にわたり長引いたことで、新たなインタビューイーへのインタビューに備えた経費が未執行となった。 伊地智啓プロデューサーのインタビューが6月末の回を持って終了する予定であり、その後幾人かの新たなインタビューイーにインタビューを行う計画である。次年度使用額については、そうした新たなインタビューイーへのインタビューの準備のための物品費(資料代)、謝金等々として使用の予定である。 また、パソコン、録音機などの一部の機材がOSやソフトのヴァージョン・アップに追い付いていないこともあり、新たなインタビューイーに応じて、新種の機材が必要となる可能性も考えられ、次年度使用額の一部は機材購入のための物品費としても使用する予定である。
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Research Products
(3 results)