2012 Fiscal Year Research-status Report
菊亭家旧蔵資料にみる江戸期の公家における雅楽に関する研究
Project/Area Number |
24520176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo College of Music |
Principal Investigator |
太田 暁子 東京音楽大学, 音楽学部, 講師 (90399741)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音楽学 |
Research Abstract |
本研究は、幕府、朝廷、寺社、楽家のいずれにも深く関係のあった公家である菊亭家(今出川家)旧蔵雅楽関係資料をもとに、菊亭家の雅楽への関わり方を検討することによって、江戸時代の雅楽の奏楽の実態に関する一側面を公家側の視点から解明しようと試みるものである。 初年度にあたる2012年度は、菊亭家旧蔵の雅楽関係資料や音楽理論書に関して、国内所蔵資料及び海外所蔵資料の調査、検討を行い、各資料の関連性を整理することに主眼を置いた。対象資料の部数が多いため、まずは先行研究にて既に行っているケンブリッジ大学図書館が所蔵する菊亭家資料の調査をもとに、ケンブリッジ蔵の各資料を精査し、その目録、解題を作成する作業に着手した。そしてその作業を足がかりとし、専修大学、京都大学各図書館が所蔵する菊亭家資料のうち、ケンブリッジ蔵資料と関連する可能性のある資料へと調査対象を広げていくという手法を取った。本年度は京都大学に赴いて資料の調査を新たに行ったが、これに関しては次年度以降も継続して作業を進め、調査対象も他機関をも含めた範囲へと広げる必要がある。 資料の関連性に関しては、成立年代が明記されず、書誌情報を含めても現時点において推定の範囲を出ないものが多々あるため、次年度以降に行う日次記との対象作業とともに、慎重に作業を続けていく必要があると考えている。一方、所蔵資料の由来を検討するため、菊亭家当主のみならず姻戚関係をも含めた系図と資料を対照させる作業にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は基礎的な資料研究であり、その手段の殆どは菊亭家旧蔵資料と徹底的に対峙することによって作業を進めることにある。 対象資料の部数は非常に多く、その成果に関しては一朝一夕に出るものではない。しかし、先ずはケンブリッジ大図書館蔵資料を足がかりとし、それをもとに専修大学、京都大学各図書館蔵資料へと対象を広げるという手段を取ることを当初から決めていたため、スムースに作業を進めることが出来ており、ペースも予想通りに展開している。そのため初年度の進行状況としては概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、2012年度に行った内容の継続作業を行う。 菊亭家旧蔵資料の部数が非常に多いため、先ずはケンブリッジ大図書館蔵資料を足がかりとし、それをもとに専修大学、京都大学各図書館蔵資料の検討を行うという手段は変わらないが、今後は関係の深い資料があることが分かっている宮内庁書陵部蔵資料の検討も行う。 また、ケンブリッジ蔵資料の目録、解題を作成し、紀要等の手段を以て公開し、研究者、演奏家などの専門家からの助言を仰ぐ予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
専修大学、京都大学各図書館が所蔵する菊亭家旧蔵資料の複写、および宮内庁書陵部が所蔵する同家資料の複写に使用する。また、ケンブリッジ蔵資料の目録・解題を作成するため、それへ向けての資料購入、画像使用料やそれに伴う諸経費などが主な使途である。ほか、関連する基礎資料や先行研究に関する書籍購入にも使用する。 また、研究成果公開に関する準備作業において、研究代表者以外の者に作業を依頼する可能性が高く、その労力に対しては資料整理支援者雇用費として計上した謝金を充当する。
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