2012 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の<ダンス-モダンダンス>概念の形成に関する歴史研究
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24520183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
杉山 千鶴 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (40216346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 正昭 明治大学, 文学部, 講師 (40409727)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本 |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の通りである. ①帝国劇場付属技芸学校と同歌劇部については帝国劇場発行の『帝国劇場番組』『帝国劇場絵本筋書』,浅草オペラについては公演プログラムやブロマイド等,現物を可能な限り入手しデータ化を行い,また公演の詳細な内容についてデータベースを作成.またこれらで活動した人々や彼らの門下生等が活動している点から1930年代の浅草レヴューも対象とした.しかしハードディスクの故障により一部データが紛失したため,現時点では紛失分の再データ化を行うにとどまっている.これらのデータベースにより,それぞれの公演活動を概観できる他,個々の公演を詳細に見ることが可能となり,今後当該分野の研究に大いに寄与するものと期待できる. ②代表者は帝国劇場歌劇部員の中でも特に小森敏に注目し,入手した現物資料,誌紙等から帝劇時代の活動を詳細に追い,その内容について2012年8月の現代舞踊協会夏期合宿講座の際に資料を提供する他,同年12月第64回舞踊学会大会にて研究発表を行った.小森を通して歌劇部員の広範な活動が明らかになり,帝劇歌劇部の教育内容がオペラに偏っていなかったという意義を見出すことができた. ③浅草オペラと浅草レヴューについて,代表者は主に東京で,分担社は関西で資料調査を行った.代表者は近代の浅草で上演された舞踊を特定の舞踊家を通して考察した論考を執筆した(2013年9月刊行予定).また代表者は公演における舞踊の位置づけを試みるべく,舞踊以外の演目に注目し2点の論考を発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現物資料の収集とこれのデータ化・データベース作成について,ハードディスクの故障によってデータが紛失したためにその公開が遅れているが,紛失分の修復も含め,作業は順調に進んでいる. また本研究で対象としている帝国劇場付属技芸学校・歌劇部,浅草オペラ,浅草レヴューのいずれについても資料の収集が順調に進んでいること,そしてそれをもとに着実に成果を出している.今後,本研究を進めるにあたって,足元が確実に築かれつつあると言える状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も従来通りに散逸しがちな現物資料の収集につとめる他,関係者へのインタビューを行い,1次・2次資料の収集を進める.特に帝国劇場付属技芸学校と歌劇部においては教育カリキュラムについて調査を行い,現物資料に見られる公演活動との関連を明らかにしつつ,<西洋舞踊><ダンス>の語の扱われ方にも注目していく.また浅草オペラや浅草レヴューにおいては,<舞踊><新舞踊><バレー>等多様な名称を伴い,また大小多様な団体があるがゆえに誌紙等だけではわからないことが多々あるが,現物資料の収集とこれの分析を行い,誌紙資料と合わせて,その実態と概念の用いられ方を明らかにする.また今後は研究成果の公開をより積極的に進めていく.まずは専用のホームページを開設し,ハードディスクの故障により実現できなかったデータベースの公開を行い,現物資料を入手するごとに追加していき充実を図る.また平成25・26年度に公開シンポジウムを開催する.学会発表,論文投稿は従来通り行うものとする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究においては現物資料の入手が非常に重要であるが,古書店を通じて購入するために,入手時期に偏りがあり,また費用も予測不可能であるために,研究費を計画的に使用できなかった. この「次年度使用額」いついては,現物資料の購入に充て,より充実した成果を生むための一助としたい.
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