2013 Fiscal Year Research-status Report
フランス、ベルギー、カナダにおける国内・対外文化政策の再構築
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24520184
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤井 慎太郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10350365)
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Keywords | 文化政策 / 舞台芸術 / 劇場制度 / 文化外交 / 対外文化政策 / フランス / ベルギー / カナダ |
Research Abstract |
2013年度の研究実績の概要は以下の通りである。まず2013年7月にアヴィニョンにおいて、フランスの劇場関係者に聞き取り調査を行った。逆説的だが、社会党出身のオランド大統領のもとで、文化政策を聖域としない支出削減がより厳格に実施され、芸術文化は相対的に以前よりも困難な時期を迎えている。さらに同年8月にはブリュッセルにおいて欧州連合やフランダース政府ほかの文化政策担当者に聞きとり調査を行い、その成果の一部を、論文「欧州連合の文化政策」にまとめて『地域創造』に発表し、カルチャー・プログラムからクリエイティブ・ヨーロッパ・プログラムへの移行の特徴と課題を論じた。2014年3月にはモントリオールにおいて聞き取り調査を実施し、その成果の一部を「ケベック州、モントリオール芸術文化環境」、「ケベック州の舞台芸術教育」のうちに要約してまとめ、早稲田大学文学部演劇映像コースが主催し、本研究代表者が責任者を務めた「新しい演劇人<ドラマトゥルク>養成プログラム」ウェブサイトにおいて公表した。ケベックの分離独立運動が盛り上がるのと同時に、北米で最も手厚い文化政策がとられるようになったケベック州であるが、ここでも緊縮財政のもと大きな進展はもはや見込むことができない。反面、文化政策の領域は相対的に守られており、2007年に文化都市宣言を行ったモントリオールでは、市中心部にスペクタクル地区の整備が着実に進んでいるのを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は、1年度限りだが文化庁助成事業「新しい演劇人<ドラマトゥルク>養成プログラム」の責任者も務めていたために多忙をきわめたが、それでも一定の研究成果を生み出すことができ、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度には、まず前半に文化政策の第一級の専門家であるパリ・ウェスト大学のエマニュエル・ヴァロン教授を招聘し、3回の研究会を開催するとともに、聞き取り調査を実施するほか、アントワープの複合文化施設ドゥ・シングルの責任者ミリアム・ドゥ・クロパーの来日の機会を利用して、聞き取り調査を実施する予定である。ついで、パリ、アヴィニョン、ブリュッセルでの文献調査・聞き取り調査を実施し、その成果を論文にまとめることを予定している。ベルギーは、欧州議会、連邦議会、地方議会の3つの異なる行政レベルで選挙が予定されており、その動向と文化に対する影響を重点的に分析したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外からの人物招聘が2014年度に延期になったため、若干の剰余額が生じたものである。 最終年度である2014年度前半に人物招聘が実現することになっており、2014年度には剰余額は生じない見込みである。
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