2014 Fiscal Year Annual Research Report
フランス、ベルギー、カナダにおける国内・対外文化政策の再構築
Project/Area Number |
24520184
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤井 慎太郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10350365)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化政策 / 舞台芸術 / 劇場制度 / 文化外交 / 対外文化政策 / フランス / ベルギー / カナダ |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、パリ・ウェスト大学のエマニュエル・ヴァロン教授(演劇学、文化政策学)を招聘し、4月14日、18日、21日に「現代ヨーロッパ演劇と戦争・暴力・カタストロフィ」、「危機の時代におけるヨーロッパ文化政策/第三次地方分権改革におけるフランスの文化政策と都市圏のダイナミズム」、「文化の民主化における芸術教育の課題」の3回の公開研究会を開催するとともに、意見交換を行った。さらに7月・10月のヨーロッパ出張を通じて、資料を入手するとともに当事者からの貴重な証言を聞くことができた。というのも、2014年は、金融危機以降も比較的、以前と同様の文化政策を維持してきたベルギー、フランスにおいても、行政府の支出削減が文化にも及び、それが芸術界に対しても大きな影響を生じさせた年であったからである。フランスでは公共文化施設の廃止や活動縮小が相次いだほか、アンテルミタン(舞台芸術、視聴覚産業のフリー労働者)の抗議運動が再燃し、アヴィニョン演劇祭の一部の演目が中止となりもした。ベルギーにおいては5月の選挙結果を受けて新たに発足した政府(連邦、フランダース、フランス語共同体)がいずれも文化予算の縮減を決定し、そのために王立モネ劇場(ブリュッセル、連邦政府所管)はオペラ部門のみを残して、伝統ある舞踊部門を廃止する方向性を打ち出した。そうした芸術環境の大きな変化と当事者の対応を最終的な論文・報告書としてまとめているところであり、2015年6月に開かれる日本演劇学会の大会においても一部を発表する予定である。そのほかにも2014年度は4本の論文(うち1本は2014年度に英語で執筆したものがイタリア語に翻訳され、イタリアで刊行された単行本の論文集に収録された)、1本の評論文(アヴィニョン演劇祭に関する長文の劇評)を執筆し、2回の国際学会に招待されて英語およびフランス語で学会発表を行った。
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