2012 Fiscal Year Research-status Report
現代日本のポピュラー音楽の歴史的・文化的再評価と海外での受容に関する学際的研究
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24520190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
長澤 唯史 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (50228003)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポピュラー音楽 / ポストモダニズム / アヴァンポップ / 国際情報交換:アメリカ / 国際情報交換:オセアニア |
Research Abstract |
(1) 日本のポピュラー音楽研究に関する資料収集とその再検討のために、①日本におけるポピュラー音楽研究の資料収集・分析、②音楽学・社会学・社会心理学などの理論的研究とその資料収集、③音源収集やフィールドワークによる情報収集を行った。具体的には日本のポピュラーミュージックの主要な音源と研究・批評等の文献収集、音楽研究全体の中での日本の大衆音楽への言及を資料によって調査した。 (2) 日本のポップカルチャーの文脈からのポピュラー音楽の再検討のために、①ポップカルチャー・コンテンツとしてのポピュラー音楽の現状分析、②ポップカルチャー研究の知見、手法の応用による音楽評価を行った。具体的にはポストモダニズム/アヴァン・ポップの文脈からのポピュラー音楽史の再検討、現代文化におけるポピュラー音楽の表象の検討を、主として文学作品や映像作品との比較検討を通じて行った。 (3) 海外での研究・受容に関する調査については、①音楽研究分野における日本のポピュラー音楽の評価の研究、②海外での日本文化に関する研究資料の収集・分析、③ポピュラー音楽を巡る状況に関する現地調査を行った。具体的には海外で発行されている日本音楽研究、および日本研究分野での大衆文化に関する言及・分析を、文献やインターネット等の資料を通じて調査し、北米およびオセアニア地域での日本のポピュラーカルチャーの受容について、現地調査を行った。 以上、(1)~(3)の研究を通じて、日本のポピュラー音楽受容については欧米よりもアジア地域などで積極的に行われていること、だが全体として他のポピュラーカルチャー分野に比べて大幅に立ち遅れていること、その中でボーカロイドやアニメソングなどのネット文化に密接に結びついたコンテンツは検討していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)日本のポピュラー音楽の歴史とその特徴を、欧米のポピュラー音楽と比較検討しながら、その文化的特異性を明らかにする。 (2)現在の日本のポピュラー音楽の海外展開の現状を精査し、その問題点を検証する。 (3)近年の日本のポップカルチャーの海外展開、とくにインターネットを通じた普及の現状を調査し、日本音楽の普及に必要な戦略や手法を提言する。 上記が本研究の目的であるが、(1)については日本の海外文化の移入の歴史やその形態、特徴などについて大よそ明らかにすることができたと考えている。とくに日本特有と思われているコピー文化について、必ずしも欧米に同様の現象が存在しないわけではないことが明らかになり、日本の洋楽受容に関する新たな知見を獲得することができた。また(2)についても現状の調査はほぼ予定通りに進んでおり、25年度に海外での現地調査を予定通り完了する見通しである。世界的にCDの売り上げが減少する中、とくに韓国文化の海外進出戦略との比較を通じて、日本文化の海外発信の強みと弱点がかなり明確になってきた。 (3)については、(1)、(2)の成果を踏まえて着手する内容であるため、主として25年度から本格的に行う内容であるが、準備やその作業の見通しについてもほぼ予定どおりである。とくに海外で開催されているアニメ・マンガ関連のイベントについての調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については、積極的に研究会、シンポジウム等を企画し、国内の研究者や音楽活動に携わる実作者を交え、日本のポピュラー音楽の過去・現在・未来について意見交換などを行う場を設ける。愛知教育大学教授の久野陽一氏、慶應義塾大学准教授の新島進氏、愛知県立大学非常勤でボーカリストの宮崎尚一氏などをパネリストとして予定している。 24年度に引き続き、日本のポピュラーミュージックの現状分析を継続して行うとともに、提言へと結びつく問題点の洗い出しの作業を本年度の課題とする。具体的な手順としては上記のパネル、シンポジウムや日本ポピュラー音楽学会などでの議論、関係者への調査やインタビューなどを行うと同時に、津田大介氏をはじめとする日本の音楽状況に関して発信を行っている研究者の著作なども通じて情報収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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