2014 Fiscal Year Annual Research Report
耳鳥齋の戯画と近代漫画の比較研究-アニメーションの源流としての江戸時代の戯画-
Project/Area Number |
24520196
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中谷 伸生 関西大学, 文学部, 教授 (90247891)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耳鳥齋 / 戯画 / 漫画 / 江戸時代 / 版本 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治時代以来、長らく忘れられてきた江戸時代の戯画作者の耳鳥齋について、その作品調査を進めることで、全容を明らかにし、それらの戯画作品が近代・現代の漫画・アニメーションの源流であると考えられるかどうかの研究を行った。近年、世界中に広がりつつある日本のいわゆるクールジャパンの特質の解明にも資することのできる研究だと考えられる。 現在、発見されている耳鳥齋の戯画作品をできる限り網羅的にデータ化して、それらをオールカラーで紹介する書籍『耳鳥齋アーカイヴズ』(関西大学出版・2015年刊)を出版して、研究者はもちろんのこと、広く一般の読者にも伝わるように心がけた。この書籍は、耳鳥齋については本邦初のもので、大きな成果だと考えられる。すべての耳鳥齋作品に解説を付け、それらの真贋について判定を下しており、今後の研究に役立つものとした。 耳鳥齋の戯画を近代に引き継いだ活動としては、岡本一平の復刻本『絵本水や空』や宮武外骨による『歳時滅法戒』(『かつらかさね』解題復刻)を上げることができるが、これらの活動からも、耳鳥齋らの江戸時代の戯画が、明治時代に入っても人気を博していたことが明らかになる。それらはまた、大阪のみならず名古屋にも広がっていたことも明らかになった。 近代漫画や現代のアニメーションなどが誕生する土壌に、江戸時代の戯画の存在があったことは、近年、欧米や東アジアの諸国はもちろんのこと、世界中に広がりつつある、いわゆる日本のクールジャパンの文化の解明にとって大きな意義をもつと考えられる。
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