2014 Fiscal Year Annual Research Report
中世文学における伝承性とその視覚的展開に関する研究
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24520202
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
菊地 仁 山形大学, 人文学部, 教授 (50125762)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 伝承 / 絵巻 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度にあたるので、中世文学における伝承性と絵画性の問題を、これまでとは違った角度から深められるように努めた。 2014年5月24~25日、平成26年度中世文学会春季大会(早稲田大学)に出席した。特に、本研究とのかかわりからは、説話系絵巻の発表二本と、書籍絵画類資料などの展観が大いに参考となった。 同じく6月21日には、和歌文学会6月例会(早稲田大学)において、「和歌的想像力と詠作主体 ─八代集を中心に─」という論題で口頭発表を行なった。この学会発表においては、主に院政期から中世にむかう和歌史のなかで、聴覚との関係でいかに視覚的な表現が影響を受けるかを、具体例にそくしつつ、伝承的な類型性の問題にも言及しながら述べてみた。 同じく7~9月にかけて、ちりめん本・職人歌合・浮世絵などを中心に、主に説話系のモティーフに基づく文学・絵画関係の複製や注釈あるいは研究書を集中的に購入した。 同じく12月13日には、西行の伝承像に関する講演する機会を与えられたのを機に、その講演に基づき『西行学』の次号に「桧原峠を越え行く西行─近世奥羽の地誌に見る伝説成長の一事例─」を執筆した(入稿済み)。この論文は、漂泊する西行像の地方的な展開を近世の地誌のなかに探ったものである。その執筆過程で、未確認の伝承文献資料を確認するため、12月25日に東京都立中央図書館に赴き、追加的な調査を行なって論文に反映させることができた。
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