2014 Fiscal Year Annual Research Report
中間小説誌の研究―昭和期メディア編成史の構築に向けて
Project/Area Number |
24520205
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
小嶋 洋輔 名桜大学, 国際学部, 准教授 (50571618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 一豊 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), その他 (00571621)
高橋 孝次 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), その他 (20571623)
牧野 悠 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), その他 (50571626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メディア研究 / 日本文学 / 近代文学 / 昭和史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成二六年度は、残された昭和四〇年代中間小説誌の史料収集とその後継雑誌群の調査、史料収集を国立国会図書館・日本近代文学館・神奈川近代文学館などを中心に行った。だが、中間小説誌という存在が次第にその特色を失ってゆく昭和四〇年代の考察は今後の継続作業として、中間小説誌が中間小説誌足り得た時代のとりまとめが平成二六年度の主たる作業となった。 そのとりまとめ作業の第一にあげられるのが、中間小説誌という存在を史的に捉え直す作業である。結果、中間小説誌は、以下のような三段変容を遂げていたことがわかった。それは、出版不況と淘汰が起こり、中間小説誌市場の自立化が顕著に進んだ昭和二四年、倶楽部系雑誌が退場し、中間小説誌がその役割をも含むかたちで大衆化した昭和二九年、そして、社会派推理小説の隆盛と風俗作家のフェイドアウトが起きた昭和三六年、というように三つの年が象徴的に示す変容であった。個々の中間小説誌を検証していくことで、読者層と雑誌メディアが段階を経て相互干渉していき、昭和期のメディア編成そのものが大きく展開していた様が明らかになったといえる。 そして研究代表者及び分担者それぞれの関心に基づく調査、考察も平成二六年度の大きな作業となった。以下、それらを箇条書きで列挙する。「中間小説という不分明なジャンルを定義づけるものとも成り得た文学賞の存在に着目し、資料を収集、考察するもの」、「中間小説誌を代表する作家である舟橋聖一と、「小説新潮」を中間小説誌の盟主たらしめた『雪婦人絵図』の問題を考察するもの」、「戦後時代小説というジャンルの変遷のなかでの中間小説の役割を考察するもの」、「「小説新潮」の人気企画「小説新潮サロン」「読者の声」欄の分析」、の四点である。以上の作業は各研究者で必要とされるものが異なるため、研究費を分配し、研究を進めた。その成果として、最終報告書が刊行された。
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Remarks |
最終年度2014年に『「中間小説誌の研究-昭和期メディア編成史の構築に向けて-」研究報告書』を刊行した。論文として高橋孝次「大衆雑誌懇話会の文学賞たち―「中間小説」の三段階変容説」、西田一豊「舟橋聖一『雪夫人絵図』と中間小説誌」、牧野悠「「チャンバラ中間小説」の徴候―戦前期大衆文学論からの要請」、小嶋洋輔「中間小説誌における「読者の声」欄の位置―『小説新潮』昭和二八年~昭和三九年」を載せた。
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