2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520207
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
柴田 勝二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80206135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雄二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60224549)
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Keywords | 現代文学 / 村上春樹 / 日本の近代化 / 夏目漱石 / 幻想と現実 / 個人と社会 |
Research Abstract |
平成25年度は現代を代表する国際作家である村上春樹を対象として、研究代表者と協力者が論考を執筆し、それを核として内外の研究者、翻訳者に論考を執筆してもらい、それらを集めて村上春樹論集を本学出版会との共同で刊行することを第一の目的とした。代表者は主にヨーロッパ文学との比較から、協力者は専門である英米文学との比較から村上文学の特質を探り出す論考を執筆した。海外からはアメリカ、フランス、台湾、韓国などから論考を得ることができ、いずれも斬新な視角から村上作品を捉える論考が集まった。平成25年度中に刊行の予定であったが、海外との連絡の難しさなどから論考の収集に予想以上の時間がかかり、刊行は26年度にずれ込むことになった。 なお代表者は西洋文学全般の強い影響下に作品をもたらしつづけた作家である夏目漱石を並行して研究しており、ウィリアム・ジェームズ、モーガンらの理論がその文学理論と作品にどのように影響を与えているかを考える論考を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の主な目的は国際作家である村上春樹を対象とする研究を代表者、協力者が進めるとともに、内外の論考を集めて論集を刊行することであったが、海外の論者の原稿を得る事務的な難しさが主な原因となって、残念ながら25年度中には刊行に至らなかった。しかし研究そのものは進展しており、この作家の国際性と日本性を明るみに出すことには十分成功している。 またそれと並行して、夏目漱石などに見られる英米文化・思想の影響についても代表者が論考を発表し、近代と現代の両面にわたる日本と欧米の文化的交渉に関する研究も進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に刊行の予定であった村上春樹論集を26年度の6月までに刊行したい。現在校正を進めている段階であり、これは確実に達成できる課題である。 次に三年間の科研の集成ともなる、内外の研究者を集めて近現代文学における日米関係の影響について考えるシンポジウムを26年度の秋ないし冬に開催する予定である。村上春樹も英米文学の優れた翻訳者であり、アメリカ文学の影響の色濃い作家の一人でもあるため、このシンポジウムに関わるテーマとなるが、三島由紀夫、大江健三郎、小島信夫、安岡章太郎、村上龍といった戦後文学の代表的存在たちはいずれも「アメリカ」との関わりをモチーフとして持っており、こうした戦後作家たちを総合的に捉えることを目指したい。シンポジウム開催に当たっては、とくにアメリカ在住の研究者を二名程度招聘する予定だが、その連絡にはアメリカ文学の専門家である協力者が当たることになっている。 シンポジウム開催後は、そこでの発表を元とした論考を発表者に執筆していただき、論集をまとめる予定である。代表者、協力者も論考を執筆することはいうまでもない。
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Research Products
(5 results)