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2013 Fiscal Year Research-status Report

『台湾愛国婦人』の資料的研究

Research Project

Project/Area Number 24520217
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

樫原 修  広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50132064)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 下岡 友加  県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (30548813)
Keywords台湾愛国婦人
Research Abstract

平成25年度の計画としては、前年度に引き続いて資料の収集を行うとともに、収集した資料の内容的検討を開始することとしていた。
このうち、資料収集については、ウェブ上で蔵書目録が公開されている図書館・資料館等の調査は前年度にほぼ終えていたので、公開されていない所で所蔵している可能性のある場所の調査を行った。また、台湾で陳慶芳氏が個人として1冊所蔵しているとの情報を得て借覧したが、これは第63巻で、すでに他の場所で見つかっているものであった。この他、スタンフォード大学の蔵書目録に未発見の巻を含む多数の巻の所蔵情報があるのを見出した。図書館を通しての資料複写依頼では埒があかなかったこともあり、現地調査を行ったが、残念ながらこれは当該の雑誌から漢文欄だけが切り取られたもので、本研究が主たる対象としており、当該誌の主要部分でもある日本語のページは存在しないことがわかった。今後未発見の巻が見つかる可能性がないわけではないが、現時点で可能な所在調査はほぼやりつくしたといえると思う。
一方、内容的検討については、①総督府の統治政策との関係性を明らかにすることと、②作家の全集未収録作品、著作目録・年譜未記載資料等の翻刻をすることを柱にしていたが、①に関しては雑誌全体の検討と評価の他、植民地政策に関わる広範な問題の検討が必要なため、大きな前進がないのが現状である。②に関しては、尾島菊子や国木田治子の作品を中心に翻刻を行い、内容的な検討も行っている。(ただし、これに関しては、上田正行氏を代表者とする國學院大學大学院特定課題研究とバッティングすることが判明したため、当初の予定通りには発表できないこととなった。)
なお、下岡は新発見の巻の目次と掲載作品の書誌的考察を行った論考を作成している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

資料の所在調査と収集に関しては、現時点で可能なものについてはほぼやり終えたといってよいと思う。
問題は内容的検討である。いまだ未発見の巻がかなりの量にのぼることから、雑誌の全容がつかみにくく、時期的な変化もトレースしづらいのが現状である。そのため、特に総督府の統治政策との関係性を明らかにするという課題については、植民地政策に関わる広範な問題の検討が必要なこともあって、大きく前進してはいない。
また、掲載作品の翻刻についてはある程度進めてきたが、上田正行氏を代表者とする國學院大學大学院特定課題研究報告書『『台湾愛国婦人』の研究』が出版されたため、それとの重複を避ける必要が生じた。本研究が対象とする雑誌はほとんど世に知られていないため、既発見の巻の目次を整理して示すことと、掲載作品の翻刻・紹介をすること自体に大きな学術的意義があると考えてきたが、そのかなりの部分が上田氏らによってなされたため、方向転換を余儀なくされることとなった。
それらのことで、内容的検討の面で遅れが生じている。

Strategy for Future Research Activity

今後は収集した資料の内容的検討が中心になるが、資料の所在情報を得るための努力も継続する。日本と台湾だけでなく、世界規模の探索を行う必要もあると思われるが、そのための情報収集も行う。(すでにWorldCatは調査したが、目的には達していないので、他の手段を模索する。)
内容的検討に関してであるが、総督府の統治政策との関係性を明らかにするという課題については、少し問題を絞り込んで、掲載記事を植民地言説という観点から分析するという方向に進めるべきかと考えている。また、掲載作品の翻刻については、上田氏らの報告書に未収録の作品に翻刻する意義があるものがあるかどうか検討するとともに、作品自体の分析に踏み込んだ検討を行うこととしたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

交付額に合わせた慎重な支出を心がけたが、物品費等で端数が出たため、若干の余りが生じた。
少額なので、平成26年度使用額と合わせて適正に執行する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 戦後台湾の日本語小説・黄霊芝「仙桃の花」の表現2014

    • Author(s)
      下岡友加
    • Journal Title

      県立広島大学人間文化学部紀要

      Volume: 9 Pages: 133-146

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 新資料『台湾愛国婦人』第六十一巻-与謝野晶子と雑誌の関わりを中心に-2014

    • Author(s)
      下岡友加
    • Journal Title

      日本研究

      Volume: 27 Pages: 未定

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 傀儡師とペテン師-芥川龍之介と黄霊芝-2013

    • Author(s)
      下岡友加
    • Journal Title

      台湾日本語文学報

      Volume: 33 Pages: 83-101

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 呉濁流と黄霊芝、創作方法の比較考察

    • Author(s)
      下岡友加
    • Organizer
      日本台湾学会
    • Place of Presentation
      広島大学
  • [Book] 私小説ハンドブック(分担執筆・「私小説概念の成立」)2014

    • Author(s)
      樫原修
    • Total Pages
      312
    • Publisher
      勉誠出版

URL: 

Published: 2015-05-28  

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