2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the Japanese literature in early modern Ryukyu and making teaching materials of Okinawan traditional language culture
Project/Area Number |
24520220
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
萩野 敦子 琉球大学, 教育学部, 教授 (90343376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 郷土(地域)の文化 / 授業実践 / 伝統的な言語文化の教材化 / 古典文学の再生 / 近世琉球和歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,北海道大学教育学院が2016年7月24日に開催したオープンセミナー「学校教育に対する『国際化』の影響」において、真の国際化は、人それぞれが生まれ育った郷土(地域)の文化多様性を尊重することを土台としてあるべきだという趣旨の報告を依頼された。この報告を本研究に結び付けるため、論題を「沖縄におけることば・文化の継承を目的とした二つの教育実践―真の国際人を育てるために―」とし、石垣島で生まれ育ち、八重山の中学校で教鞭を執る国語教師による八重山伝統歌謡「とぅばらーま」を用いた授業実践と、沖縄本島中南部で生まれ育ち、県立高校で教鞭を執る国語教師による「うちなーぐち(しまくとぅば)」の授業実践を取材した。報告はパワーポイントで行ったので、そこに盛り込んだデータを文章化して論文とする予定である。 2,「伝統的な言語文化」を教材化するという本研究の目論見は、古典作品を現代の教育(学校教育のみならず生涯を通して学びたい人々への教育も含む)にどのように再生させるかという課題に向き合うことだと言い換えられる。その目論見の一環として、2016年11月6日に行われた日本文学協会第71回大会において、ラウンドテーブル「「現在」に再生する『とりかへばや』」を3人の王朝文学研究者とともに実施した。近世琉球和文学にも有形無形の影響を及ぼしている平安時代の物語文学の一つである『とりかへばや』の現代におけるリメイク作品(小説や漫画)数点に着目し、古典の「現在」への再生について考えるという試みであった。 3,上述の1と2は本研究において周縁的な内容となったが、こういった研究に取り組むかたわら、本研究の中心である近世琉球和文学へのアプローチとして、池宮正治ほか編『近世沖縄和歌集』(1990年、ひるぎ社)のテキスト入力(データベースづくり)に取り組んだ。これは今後の研究の土台となる作業である。
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