2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
久堀 裕朗 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (50335402)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人形浄瑠璃 / 淡路座 / 淡路人形芝居 / 近世演劇 / 文楽 |
Research Abstract |
研究実施計画に記した通り、「I.淡路座旧蔵浄瑠璃本の調査・分析」「II.淡路座興行記録(番付・古文書・チラシ・ポスター・新聞記事等)の調査・分析」「III.淡路座上演記録資料(文字資料以外)の調査・分析」を並行して進めた。 Iについては、南あわじ市淡路人形浄瑠璃資料館、松茂町人形浄瑠璃芝居資料館の浄瑠璃本調査を行い、加えて大阪市立中央図書館所蔵の大阪の浄瑠璃本の調査の結果と照合して、『日高川入相花王』『道成寺現在蛇鱗』(淡路では両作を継ぎ合わせて『日高川嫉妬鱗』の外題で上演)の伝本と上演史について整理した。その結果はまとめるに至っていないが、成果の一端を「はなやか関西2012人形浄瑠璃フォーラム」(平成24年10月6日。大阪歴史博物館)の『日高川入相花王』解説で話した。 IIについては、早稲田大学演劇博物館の所蔵番付を再調査し、未確認のものを数点見出したほか、各種新聞の記事データベースを用いて近代の記録の確認に努めた。また前年度の出稿であるが、「『淡島歴覧』の淡路座関連記事」(『演劇研究会会報』第38号、2012年6月)を発表し、併せて『淡島歴覧』に載る淡路座興行記録の分析を進めた。 IIIについては、南あわじ市淡路人形浄瑠璃資料館所蔵の宗虎亮氏撮影写真のネガをデジタル化して、昭和三十、四十年代の写真資料を確認し、野掛け小屋で上演された淡路人形芝居の人形・衣裳・大道具・演出等の把握に努めた。 以上とともに、作品復活に関する取り組みとして、『生写朝顔日記』摩耶嶽の段の復活公演(文化庁「文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業」により淡路人形協会が平成25年2月2日実施。淡路人形座)に協力し、その上演台本と演出プランの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」に掲げた目的に照らし、「研究実施計画」に記した事項をおおむね予定通りに実施している。 「研究実施計画」記載のI・II・IIIに分けると、Iは順調に浄瑠璃本調査と作品分析を進めたので予定通り、IIは新規の興行記録発見には乏しかったのでやや不十分、IIIは写真資料の整理を順調にこなして予定通り、といった結果である。また復活上演に関する取り組みも予定通り行ったので、全体としては「おおむね順調」と自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の通り、平成25年度以降も、「I.淡路座旧蔵浄瑠璃本の調査・分析」「II.淡路座興行記録(番付・古文書・チラシ・ポスター・新聞記事等)の調査・分析」「III.淡路座上演記録資料(文字資料以外)の調査・分析」を並行して進める予定である。 予定通り進められている事項(I・III)については、当初計画に基づき調査を続行するつもりである。IIについては、やや調査が遅れているところがあるので、今年度特に集中的に取り組みたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額に22540円を残したが、刊行中の図書の継続購入を行っていて、年度が変わる時期に刊行の予定があり、その分に若干の額を残していたので、結果的に次年度に持ち越すことになったものである。従って、この残額分は図書購入にあてる。その他は当初計画の通りである。
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