2013 Fiscal Year Research-status Report
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24520228
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
鈴木 元 熊本県立大学, 文学部, 教授 (40305834)
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Keywords | 菊池風土記 / 菊池万句 / 渋江松石 |
Research Abstract |
1.菊池市の協力を得て、菊池風土記の巻一、巻二に記載された社寺・史跡等をいくつかピックアップし、そこを実地に探訪することで、記事との対応や現状の確認を行った。このことは、記載内容の具体的裏付けの確認という意味だけではなく、今後、本研究を社会的に還元していくうえで、どのような手法がありうるのかを考えるという意味をもつ。また菊池市と提携した今後の事業展開の可能性をさぐり、そのために必要な顔つなぎという意義もある。おそらく本研究をさらに進めていく上では、菊池市に残されている典籍類の調査が重要になってくるものと思われ、そうした新たな展開のためにも菊池市の協力は不可欠である。 2.学生をアルバイト雇用し、菊池風土記の関連資料(嶋屋日記など)から菊池風土記にかかわる記事の抽出を行った。今後、その内容を註釈に反映させていく作業に移ることとなる。 3.菊池風土記巻一の註釈作業を8割程度まで終了させた。註釈の作業により、一般読者にとって甚だ難解な序文について、もちいられている用語の典拠を含めて明らかにしえた。また地誌としての菊池風土記が利用している先行資料の種類が、一定程度明らかとなり、菊池風土記の生成過程が浮かび上がってきた。また、菊池風土記がその中に納めている資料の性格と、文献学的にみた場合の問題についても、この註釈作業により明らかとなってきた。ことに、これまで専門としてきた連歌研究にかかわるものとして、菊池万句の資料批判を行う必要性が明らかとなったことは大きな意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画においては、巻二までの註釈を予定していた。その意味においては、現在、巻一の註釈を八割程度終えているという進展状況は、やや遅れているともいえるかもしれないが、註釈を進める過程で相当に詳細な内容の註釈へと、質的に変化を遂げてきている。むしろ、質的水準を維持した註釈を続けることに重きを置くならば、順調な進展と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
達成度の欄にふれたように、単に地誌として「読める」ものにする註釈という水準ではなく、歴史・文学・芸能等にまたがる諸領域の研究成果の集約をはかり、それを反映させた詳細な註釈をめざす。当面は巻一の註釈を完成させ、冊子その他の形として公開へともっていくことに力を注ぎ、巻二からは順次、紀要類を用いての発表としていくことで、責任を果たしたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
翌年度が研究計画の最終年度となるため、その成果発表を書冊の形では公にすることを念頭においていたが、原テキストの写真、本文そして註釈を合わせると、かなりの印刷経費を要することが想定されるため、最終年度の予算に余裕をもたせる必要があった。 最終年度は成果公開のための経費が、主たる支出費目となる。これを印刷物として刊行するか、あるいはホームページにより発信するか、現在ふたつの選択肢を考慮に入れて検討している。後者の場合にはホームページの作成経費が支出の大きな部分を占めることとなる。なお、作成した註釈の校正作業が公開までには必要であり、そのためのアルバイト経費も支出の予定である。
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Research Products
(1 results)