2013 Fiscal Year Research-status Report
図像と文学形成の関連についての基礎的研究 伝承をビジュアルターンの視点で見直す
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24520229
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Research Institution | Tomakomai Komazawa University |
Principal Investigator |
林 晃平 苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 教授 (70156438)
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Keywords | 伝承 / 伝説 / 図像 / イメージ / ビジュアルターン / 亀趺 / 竜宮門 / 発生 |
Research Abstract |
初年度は、近畿一部(大阪府・京都府一部・滋賀県一部)と四国全県、九州(対象資料の存在が確認されていない宮崎県を除く)を調査し、対象資料を購入した一眼レフデジタルカメラで撮影した。科研費支出以外にも、出張の機会に時間を作り、三重県北部、岐阜県南部の調査、東京都内及びその近隣県などの調査も随時行い、経費と時間の節約も行っている。本年度は、中国地方、近畿地方(京都・大阪・和歌山)、千葉県などを随時行った。これまでにわかったことは、資料の存在に地域による偏りがあることである。これはリスト作成の段階から予想されたことであるが、昨年度同様、実際に現地に赴くことでそれをはっきりと確認し得た。 また、今年度は、亀趺碑の草創期を含めた17世紀の亀趺の諸相と概要を論文としてまとめた(13研究発表欄に記述)。これは考古学・歴史学の近世大名墓の研究の成果と進展を利用できたことが多きい。しかし、亀の形状についての視点からの調査と考察は未だないので、本調査と報告は、イメージ(図像)を中心とした異なる視点から研究(ビジュアルターン)として 亀趺碑研究にも寄与できるものと考える。 また、海外においては、中国の北京市(7月)、韓国の北部及びソウル周辺(9月)、台湾の調査と撮影を行った。これにより東アジア近隣諸国との形状の違いや、意味付けが早期にはかられ、特に日本の 亀趺の多くの形状が「蓑亀」という異形なものであり、かつ日本独自なものであることが確認された。 こうした事例は、今後も調査の進展に伴いさらに増えてくるであろう。さらなる事例の収集によって考察を続けて行きたい。また、調査の進展に併せ、データの整理、結果に基づき、論文の執筆だけでなく最新成果を市民講座での紹介・報告など随時行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに2年間でおおよそ進行状況は70パーセントに達している。調査地は四国・九州・中国地方をほぼ終了し、近畿は滋賀と京都北部、中部では福井、石川、新潟を残すのみ。関東は北部と東北を残すのみであるが、それほど実数は多くはない。なお、25年度後半には歴史分野での研究の成果もとりいれることができ、その研究者とのリストの交換も進み、調査対象資料点数も飛躍的に伸びた。 また、海外では、韓国北部及び中国の北京市での現地調査を行い、海外の於ける 亀趺の形状の実態を直に確認することができた。台湾の調査を3月に前倒しして行ったことで、東アジアにおける亀趺の特殊性と近隣諸国における実態を早く知ることができた。特に北京には中華民国時代の亀趺まで建立されているのに対して、台湾には台南のごく一部にしか見られないことは、亀趺碑の性質とその政治背景を考慮する必要があろう。 また、中国や韓国の 亀趺が時代による特色を持つものの、大きな形状の変化が比較的少ないものであることに対して、日本のものは単なる時代の問題だけでなく、これらに比してその亀の形状が明らかに異なることが見て取れる。韓国や中国の単なる時代と形状の影響を得ているとは言い難いのである。これらもいま少し検討を加え手、「具体的に整理してゆきたい。 一方、竜宮門もその呼称が江戸時代には「唐門(からもん)」と呼ばれており。宗派となどにより若干の特徴があることもわかってきている。これにもいま少しの検討を加えて整理していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は三年目で最終年であるので、国内の調査の対象地域の残りをできる限り踏査し、資料の調査撮影を行う。具体的には北陸地方、関東北部、東北地方を中心に行う。また、国外も計画通り韓国の第二次(韓国・南部)及び中国の第二次、中部(泰安・曲阜・西安・南京・上海)の調査を行う。これらにより、東アジアにおける 亀趺の概要は把握可能となると思われる。さらに撮影対象を亀趺型石碑と門の画像だけでは不十分と考え、それに関わる文献等にも広げる必要を感じているので、接写可能なカメラのレンズ及び接写台を追加購入し、当該地における文献資料などについても、可能な限り行っていく。 また、資料の裏付けとなる文献資料などを当該地域の教育委員会や図書館を通して収集している。そうした作業をやりやすくするために、現地訪問した際にも関係者や図書館などでの文献調査時間の確保のために日程の再検討を行う。一方、各地域における先行研究者との接触を図り、情報交換などでより緊密かつ効果的な調査推進を行っているが、また、中国、韓国における現地調査においても、併せて博物館や美術館及び図書館などの、第二次的資料や文献などの調査にもさらに広げ、目配りのある調査をしていく。 本26年度は、これまでにデジタル画像として収集・記録された資料を、机上での確認と比較研究を行うために、昨年度に購入した画像処理に優れたパソコンと高細密度モニターにより、研究はすでに第二段階へと進んでいる。本年度は最終年度であるので、今年度までの調査に基づくリストの完成をめざし、その調査を基にした分析及びまとめをして、報告書を作成して年度内に刊行する。そして、それらを基に今後の課題を確定する。そして、こうした四百年を超えるイメージの伝承は、龍や雷神など他にもいくつもあるので、その周辺を広げて調査したいとも考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部地域が、悪天候及び交通渋滞等の事情で回りきれなかったことと、及びプリンターの購入が、最新機種の性能の検討で次年度に送りとなったため。 プリンターは、年度当初に発注する。調査未了の地域は、気候を勘案しながら完了を目指す。
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Research Products
(1 results)