2014 Fiscal Year Annual Research Report
図像と文学形成の関連についての基礎的研究 伝承をビジュアルターンの視点で見直す
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24520229
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Research Institution | Tomakomai Komazawa University |
Principal Investigator |
林 晃平 苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 教授 (70156438)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イメージ / 伝説 / 亀趺 / 竜宮門 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成26年年度は、日本では東北・関東北部(福島・山形・新潟・群馬・栃木・茨城)及び佐賀・鹿児島県の残存未確認所在地を再訪をした。国外は、中国の泰安の岱廟・曲阜孔子廟、西安碑林博物館及びその周辺の博物館など、古い亀趺のある場所を、韓国は南部の古寺を中心に採訪を行った。 3年間を通して得た資料から成果としては、第一に主要な亀趺と龍宮門の調査を終えてリスト作成ができたことである。新たな発見も多々あり、漏れたものもあるとは思われるが、龍宮門と亀趺の日本における概数と所在が確認できた。 これをもとに亀趺については、論文を2本作成。「亀趺の生成と展開―日本における発生と展開―」(『苫小牧駒澤大学紀要』第28号)と「日本における亀趺の類型覚書―中国・韓国の亀趺との比較を通して―」(『苫小牧駒澤大学紀要』第29号)。前者は十七世紀の亀趺の初期の展開を考察、後者は近隣諸国の亀趺との形状を中心にした比較考察である。これにより日本の亀趺の形状の特徴が明確となった。文学とイメージにかかわる考察では研究発表を1本行った。全国大学国語国文学会・第百十回大会「イメージは文学といかに関わるか―文学の発生に関する一私論―」(弘前大学)がそれであり、全国五箇所の亀趺を例に挙げ、地域こそ違え亀趺が同じような伝説を各地に生み出し、特に松江市の月照寺の亀趺は人食い亀伝説を出現させている。図像が文学を生み出す高齢といえよう。また別に、イメージと伝承に関連する論文として「龍宮のイメージの変容―浮木庵絵巻「浦島」の画像をめぐり―」(石川透・編『中世の物語と絵画』中世文学と隣接諸学9・竹林舎・平成25年5月・pp.30-52))も執筆した。 これらにより、龍宮門については、そのイメージの特徴と伝承の経路が一段と鮮明になり、亀趺に関しては、図像が文学を生み出す機構と関係が明らかにされ、大きな成果を得た。
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Research Products
(3 results)