2013 Fiscal Year Research-status Report
戦後期日本のサークル運動と文学についての発展的研究
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24520242
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥羽 耕史 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90346586)
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Keywords | 桂ゆき / 小山いと子 / 安部公房 / 岡本太郎 / Georges Bataille / 夜の会 |
Research Abstract |
戦後期の日本で広く普及していたサークル運動と広い意味での「記録」の運動の実態を明らかにするため、調査・研究を行なった。また、サークル運動において中心的なジャンルであり、しばしば共同的な形で制作された詩やルポルタージュなどの文学についても、同時代の前衛的な文学・芸術運動や政治運動との関連の中での研究を行なった。 まず、「記録」の問題については、東京都現代美術館学芸員の関直子氏の協力を得て、「ルポルタージュ作家・グルメ作家としての桂ゆき」という講演を行なった。また、桜美林大学において行なわれたThe 17th Asian Studies Conference Japan (ASCJ)でのSession 25: Bundan Snark Panelにおいて、How the “Truth” Is Sponsored: Koyama Itoko and the Controversy over Dam Siteという研究発表を行ない、小山いと子の『ダム・サイト』という事実をもとにしたフィクションが引き起こした問題についての考察を行なった。 さらに、当時の運動の一つの中心でもあった安部公房について集中的に研究し、国際学会であるAASでの口頭発表でFrom Bataille and Kafka to Abe Kobo: Via Okamoto Taro and the Night Societyを発表したのをはじめ、「安部公房が描いた2013年」、「安部公房の父・安部浅吉について」、「辺境からFrontierへ――The Frontier Within: Essays by Abe Kobo書評」といったエッセイ・書評や、『安部公房を語る 郷土誌「あさひかわ」の誌面から』といった共著などを刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サークル運動関連資料の電子化については遅れているが、資料収集は順調に進んでいる。一方でいわゆる純文学の面、特に安部公房についての考察は予定以上に進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道のサークルを担っていた平中忠信氏の業績をまとめる作業と、杉浦明平の日記を出版するための準備、そして安部公房に関わる出版準備とが同時に進んでいる。これらを中心に、最終年度にふさわしい成果を出せるように進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
文学学術院の教務副主任となって多忙になったため、計画したほどの出張をすることができなかった。また、電子化のためのドキュメントスキャナーの選定に時間がかかり、購入して電子化を進めることができずにいる。 次年度の9月までで教務副主任の任期が終わるため、その後の出張計画は立てやすくなる。ドキュメントスキャナーも次年度前半には購入し、収集した資料の電子化・活用を進めていく予定である。
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