2012 Fiscal Year Research-status Report
東アジアの笑話と日本文学・日本語との関連に関する研究
Project/Area Number |
24520244
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
島田 大助 豊橋創造大学, 経営学部, 教授 (50351177)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 陽介 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00574451)
荒尾 禎秀 清泉女子大学, 文学部, 教授 (20014813)
佐伯 孝弘 清泉女子大学, 文学部, 教授 (40255956)
山口 満 豊橋創造大学, 経営学部, 准教授 (60413762)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 日本笑話 / 中国笑話 / 朝鮮笑話 / 漢字・傍訓 |
Research Abstract |
平成24年度は、①『訳解笑林広記』の諸本調査及び書誌情報の整理、②『訳解笑林広記』の翻字及び電子データ化、③『訳解笑林広記』の異体字の調査、④『訳解笑林広記』の注釈、⑤韓国、日本、中国笑話の比較分析を行った。 ①については、研究分担者荒尾禎秀によって、『訳解笑林広記』には、見返しと刊記(裏表紙見返し)に違いのある本が現時点で14種類あることが確認された。これら14種類の『訳解笑林広記』の本文について、版木の欠けによる比較で、異版の存在について調査を行っているが、明確な違いは確認できていない。本文については、14種類の『訳解笑林広記』の全てが、同一版木による出版であったと考えられる。この結果から、近世期の出版事情を明らかにするための貴重な事例だと判断し、調査を継続している。 ②については、『訳解笑林広記』の本文全体の翻刻を終えた。現在、本文の電子データ化を行っている。電子データ化ができ次第、公開用のWebページで公開する。なお、公開する電子データについては、本文のみではなく、傍訓などについても検索が可能になるよう、方法を検討している。 ③④については、研究を継続中である。 ⑤については、大韓民国在住の研究協力者琴榮辰によって、日本近世笑話と朝鮮漢文笑話との比較を行う研究がなされている。この研究については、「日本近世笑話と朝鮮漢文笑話」として論文にまとめられた。これは、平成25年5月に公開される。 平成24年度は、以上の研究を行った。『訳解笑林広記』の諸本調査により、近世期の出版について、新たな知見が得られた。琴榮辰の研究よって、本研究の重要性が再確認できた。注釈作業は時間を必要とする。今後も作業を継続していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、①『訳解笑林広記』の諸本調査及び書誌情報の整理、②『訳解笑林広記』の翻字及び電子データ化、③『訳解笑林広記』の異体字の調査、④『訳解笑林広記』の注釈、⑤韓国、日本、中国笑話の比較分析を行った。 当初の計画では、『訳解笑林広記』の他に、『笑林広記』『絶纓三笑』などの中国笑話集、『即当笑合』『訳準笑話』などについても調査を行うこととしていたが、予想以上に『訳解笑林広記』の出版状況が複雑であったため、本年度は『訳解笑林広記』を優先して行うこととした。 翻刻・注釈の作業は、時間がかかるため、研究期間を通じて適切な結果が出せるよう、今後も進めていく。 本研究の柱の一つである、東アジア文化圏の中での日本笑話についての研究は、大韓民国在住の琴榮辰と連携しながら今後も進めていく。 平成24年度は、大きな成果は出せなかったが、着実に作業は進んでいると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も平成24年度に引き続き、①『訳解笑林広記』の諸本調査及び書誌情報の整理、②『訳解笑林広記』の電子データ化、③『訳解笑林広記』の異体字の調査、④『訳解笑林広記』の注釈、⑤韓国、日本、中国笑話の比較分析を行う。 ①『訳解笑林広記』の諸本調査及び書誌情報の整理終了後、『笑林広記』『絶纓三笑』などの中国笑話集、『即当笑合』『訳準笑話』などについても調査を行う。 翻刻・注釈の作業は、時間がかかるため、研究期間を通じて適切な結果が出せるよう、今後も進めていく。作業については、翻刻した資料を基にして傍訓についても整理を行う。 日本笑話と中国笑話、韓国笑話の関連についての研究は、大韓民国在住の琴榮辰と連携しながら今後も進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の予算について一部未執行のものがある。翻刻資料の電子データをweb上で公開するために必要なソフト(indexfont今昔文字鏡プロフェッショナル版)の購入が平成24年度の予算内ではできなかったからである。平成24年度未執行分の予算と、平成25年度分予算を合わせて、ソフトを購入する。
|