2014 Fiscal Year Research-status Report
本文と絵画を通じて形成された伊勢物語場面理解の研究
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24520261
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
藤島 綾 国文学研究資料館, 研究部, 特定研究員 (80599556)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 伊勢物語受容 / かるた / 伊勢物語絵 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、研究実施計画にもとづき、写本や肉筆資料に描かれた伊勢物語絵を中心に資料調査と収集を行った。国文学研究資料館が所蔵するマイクロフィルム・紙焼き・デジタル画像・和古書、各機関がWebサイトで公開している資料画像、刊行物等がおもな対象であり、さらに各機関が所蔵する資料の調査も行った。 また、各機関で開催された企画展等の観覧を通じて、文学作品の絵画化や日本の絵入り本の挿絵描写が持つ特性について検討した。 これらと並行して、8月にリュブリャナ大学(スロベニア共和国)で開催された14TH CONFERENCE OF THE EUROPEAN ASSOCIATION FOR JAPANESE STUDIESに参加し、「カードの中の『伊勢物語』」と題した発表を行った。この発表では、従来注目されることの少なかった伊勢物語カルタという資料の存在を海外に紹介し、あわせて札に描かれた図様から江戸時代の人々がなにを読み取ったかについて、本課題の調査と研究の成果をふまえ、伊勢物語絵(写本、版本)や注釈書の記述を参照しながら指摘した。 伊勢物語カルタについては、前年度にひきつづき、現像資料の整理分類と記載本文の翻字・入力によるデータ作成を行った。その過程でカルタの本文書写者に関する新たな知見を得たことから、さらなる資料調査と撮影およびデータ現像を実施した。 平成24・25・26年度の実績について総括し、さらなる情報の拡充を図って、次年度も資料調査および収集を続行することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24・25・26年度に行った調査および作業を通じて、版本、かるた、写本という性格の異なる資料に描かれた伊勢物語絵の相違点について、知見を得つつある。 次年度以降に実施予定であった分析と成果発表を今年度に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24・25・26年度の実績をふまえ、分析を行うとともに論文を執筆する。あわせて資料調査を実施し、伊勢物語絵に関する情報の一層の拡充を図る。
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Causes of Carryover |
資料整理およびカルタ記載本文の翻字・入力を研究者本人が行ったことで、同作業に関する人件費・謝金が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度にひきづつき伊勢物語絵に関する資料調査と収集を行う予定であり、その経費として使用する。
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