2012 Fiscal Year Research-status Report
黒川家旧蔵資料の書誌的調査に基づく古典学の形成と知識流通に関する調査研究
Project/Area Number |
24520262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (80346155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤實 久美子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (90337907)
新美 哲彦 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (90390492)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 黒川家 / 国学 / 蔵書 / 蔵書形成 |
Research Abstract |
本研究は、書籍の流通と蓄積の検討に基づき江戸期における〈知〉の流通の一端を明らかにすることを目的とする。具体的には、ノートルダム清心女子大学、実践女子大学に分蔵される近世後期の国学者・黒川春村(1799-1866)、真頼(1829-1906)、真道の3代により収集された蔵書群(主として物語・和歌とその注釈、享受・研究資料等の文学関係資料)を対象とし、個別の書誌学的調査を行い、その奥書・識語と蔵書印の集成の作業を通して、黒川家に蓄積された書物の流通経路の検討を通して、〈知〉の流通の具体相の総体的把握を試みる。 当該研究の調査・検討課題項目のうち、「江戸期知識階層のネットワークに関する検討」の課題については、ノートルダム清心女子大学に分蔵される主として文学(和歌・物語)に関わる書物群の調査を行い、併せて奥書の記載事項の集成と蔵書印・伝領識語の記載内容の集成を試みた。具体的には、本研究に前接する科学研究費による研究等により蓄積された調査カードに基づき、紙媒体のデータ1100点の全体を最初に電子化し、それに追記するかたちでデータの再検討と整備を行った。本年度については簡易的な整備を450点、画像データの追記や個別のコメントを含む整理を100点に対して行った。「江戸期知識階層の古典学の形成と流通に関する検討」の課題では、村田春海(1746-1811)、岸本由豆流(1789-1846)等の江戸後期の国学者達の書き入れ注記を持つ伝本の書誌的調査と相互比較を継続し、その記載内容の変遷の検討を行った。「江戸後期の蔵書形成に関する書誌学的検討」の課題では、書誌学的知見よりデータの蓄積を行った。具体的には、古典籍の表紙と蔵書印の画像データを中心に、書籍の形態に関わるデータの蓄積と分析を試みた。平成24年度においては、ノートルダム清心女子大学所蔵分約1100点のうち200点の作成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を一部変更し、初年度に紙媒体のデータ総体を電子化し、調査の便宜を図った。そのため当初計画からは少々の遅れが出たが、概ね計画通りに進行しているといえる。本年度の調査成果は下記の通り。 当該研究の調査・検討課題項目のうち、「江戸期知識階層のネットワークに関する検討」の課題については、紙媒体のデータ1100点の全体を最初に電子化し、それに追記するかたちでデータの再検討と整備を行った。本年度については簡易的な整備を450点、画像データの追記や個別のコメントを含む整理を100点に対して行った。「江戸期知識階層の古典学の形成と流通に関する検討」の課題では、村田春海(1746-1811)、岸本由豆流(1789-1846)等の江戸後期の国学者達の書き入れ注記を持つ伝本の書誌的調査と相互比較を継続し、その記載内容の変遷の検討を行った。「江戸後期の蔵書形成に関する書誌学的検討」の課題では、書誌学的知見よりデータの蓄積を行った。具体的には、古典籍の表紙と蔵書印の画像データを中心に、書籍の形態に関わるデータの蓄積と分析を試みた。平成24年度においては、ノートルダム清心女子大学所蔵分約1100点のうち200点の作成を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降も、原則として平成24年度の計画を踏襲し継続的にデータの蓄積と分析を行う。最終年度である平成26年度については、成果の迅速な公開を目的とし、一部については研究成果報告(活字化を予定)を行う予定である。奥書及び書誌情報については、ノートルダム清心女子大学webサイトからの発信を検討し、蔵書印関係の情報については、国文学研究資料館が近時公開予定の蔵書印データベース(仮題、蔵書印関係のデータとともに一部の書誌的データを付記して公開の予定)からの発信を想定し、順次公開環境を整えてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度以降も、原則として平成24年度の計画を踏襲し継続的にデータの蓄積と分析を行うため、調査旅費、人件費に多くを割き、今後の電子化のための入力経費やデータの校正に関わる経費等に分配する。また、近年のデジタルデータの高細密化にともない、現在作成しているデジタル画像データの充実化をはかるため、デジタル入力機器の更新を行う。
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