2016 Fiscal Year Annual Research Report
Marcus Garvey and African Americans in Herlem Renaissance
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24520269
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
君塚 淳一 茨城大学, 教育学部, 教授 (60259588)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マーカス・ガーヴェイ / ハーレム・ルネッサンス / WEBデュボイス / ブッカーTワシントン / アフリカ帰還運動 / アフリカ民族主義 / 汎アフリカ主義 / 1920年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1920年代のアメリカにおいて、アフリカ民族主義を訴えて「アフリカ帰還運動」を展開すると共に、白人からの分離主義を標榜した指導者マーカス・ガーヴェイが、なぜ、当時のインテリ指導者デュボイスやハーレム・ルネッサンスの黒人作家らに批判されたのかを明らかにすることである。これは1960年代アメリカにて、人種差別撤廃と民族主義が一気に吹き出す公民権運動を考えると彼が早すぎた指導者であったとも言え、ゆえに彼がアメリカ政府から脅威なる存在として二度も命を狙われてジャマイカへ強制送還され、その後も民族主義と分離主義を封印すべき存在とされたのも理解できる。その背景を解き明かし彼の濡れ衣を払拭し、再評価する意義は大いに重要である。 最終年度では、1920年代ハーレム・ルネッサンスの黒人作家たちの出版事情に焦点を絞ること、またデュボイスの南部黒人教育者ワシントンの志を継承したガーヴェイをなぜ、更に敵対視したのかについて研究を進めた。当時の黒人作家たちは、彼らの研究や出版は白人パトロンの援助あって可能であり、政治的に白人と反目する「分離主義」は、彼らにとって受け入れられなかったことにある。当初はガーヴェイ同様に汎アフリカ主義にも関わったデュボイスが、彼をワシントンと同様に位置付けたのは興味深い。昨今のワシントン研究では、彼の態度が対白人と黒人では異なり、従来の彼の白人追従の評価が覆されている中、当時、デュボイスもハーレム・ルネッサンスの黒人作家たちも、保身ゆえ政府や白人が危険視したカリスマ的指導者ガーヴェイを否定したのである。 本研究は集大成として「マーカス・ガーヴェイとハーレム・ルネッサンスの黒人たち―その反目の裏と表」と題した報告書を編集し印刷した。内容は研究期間に、学会口頭発表や研究論文として執筆した論文、新たに論述したものを序章から3章分そしてあとがきで構成したものである。
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Research Products
(5 results)