2013 Fiscal Year Research-status Report
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24520271
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹谷 悦子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60245933)
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Keywords | ブラック・パシフィック / アフリカ系アメリカ文学 / 環太平洋ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は、アフリカ系アメリカ文学における「ブラック・パシィフィック・ナラティブ」の系譜とそれを可能にした環太平洋をめぐる大戦間の地理的想像力を探るものである。二十世紀に「太平洋共同体」という名称を与えられ、インターナショナルなコミュニティへと変容していった太平洋の地域システムと対位法的関係をもちながら、アフリカ系アメリカ文学がどのようにブラック・パシフィックという「想像の共同体」を生成していったのかを検証する。 本年度はとりわけ、以下の研究に取り組んだ。1)シカゴ連邦劇場計画の黒人ユニットによる『スウィング・ミカド』および、ブロードウェイの商業版『ホット・ミカド』を分析し、ニューディール期の「黒い太平洋」の表象と物語の政治性を明らかにした。2)アフリカ系アメリカ作家W・E・B・デュボイスが1936年におこなった満州国視察旅行を考察し、満鉄総裁松岡洋右とデュボイスとのあいだに形成された共感のネットワークを解明した。また、米英主導の地域システムと対峙する日本の「東亜の新秩序」、「大東亜共栄圏」、「ユーラシア大陸ブロック」との間で、デュボイスがどのような海と大陸の物語を生成していったかを検証した。3)ウォルター・ホワイトと太平洋戦争のラジオ・プロバガンダについての関わりを、アメリカ国立公文書館の資料調査をおこなった。 本研究により、太平洋共同体の人種と帝国主義をめぐるアフリカ系アメリカ作家たちの地理的想像力のダイナミズムを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、今までの研究の成果を、英文の研究書としてまとめることができた。その成果は2014年秋にアメリカの大学出版局から刊行予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
冷戦期にまでその研究を広げ、ウォルター・ホワイト、イーディス・サンプソン、ポール・ロブソンなどのアフリカ系アメリカ知識人たちが、アジア・太平洋の冷戦をめぐるどのような言説をつくりだしていったのかを調査したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、主に執筆に力点を置き、海外渡航による資料収集を行わなかったため、旅費に残額がでた。 次年度は、夏期休暇を利用して、ニューヨークのショーンバーグ黒人文化センターが所蔵するポール・ロブソンのコレクションおよびハーバード大学のシュレシンジャー図書館が所蔵するイーディス・サンプソン・ペーバーズの資料を調査する。またウォルター・ホワイトが戦争特派員として残した記録を調査し、研究を英文論文としてまとめる予定である。未使用額は主にこれらの旅費や資料複写料等にあてる予定である。
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